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開幕3戦を圧倒したフェラーリの新戦略。 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2004/05/06 00:00

開幕3戦を圧倒したフェラーリの新戦略。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 ポールポジションからスタートして勝つことを“ポール・トゥー・フィニッシュ”と表現する。2004年、M・シューマッハーは開幕オーストラリアGPで通算30回目のポール・トゥー・フィニッシュを決めた。これは故A・セナの29回を破る新記録で、それからマレーシアGP、バーレーンGPと勝利を積み重ねた。

 彼自身、開幕からこれほどの強さを見せた年はない。フェラーリは予想以上の速さでこの開幕3戦を走り抜けた。追う側のウイリアムズがもうひとつピリッとしないし、ルノーとB・A・R・ホンダは表彰台の一角に食い込んで健闘を見せるものの、マクラーレンは大不振――。

 今年のフェラーリ・チームに感じること、それは新レース戦略でどこよりも「攻め」に徹していることである。予選でガソリン量を少なめにしてタイムアタック。ひと晩車両保管された後、決勝はスタートから先行し、早めに1回目のピットストップ。第2戦でも、第3戦でも、M・シューマッハーは全く同じ9周目にピットに入っている。

 狙いはひとつ。予選でフロントローを確保し、序盤からレースの主導権を握ること。昨年M・シューマッハーは6勝を挙げたが、内4勝がポールポジションから。R・バリチェロの2勝もそうだった。8分の6の勝率――。

 F1レースの鉄則でもあるこの先手必勝パターン、実はマレーシアGPで“ピンチ”を迎えていた。予選1回目でルノーのF・アロンソがM・シューマッハーより0.7秒も速いタイムをだした。極端にマシンを軽くして揺さぶりをかけたのである。「このままではポールを奪われる」と、フェラーリは予選2回目までの間にガソリン量再調整をピット内で行った。何リットル(何kg)抜いたのか正確には不明だが、前述したようにレース9周目までの少量を搭載。一方アロンソは予選2回目の最終アタッカーとしてコースインしたものの、1コーナーから乱れて結局スピン。むしろフェラーリ側に警戒心を与え、攻めのレース戦略を再構築させる機会を与えてしまった。

 僕が言いたいのは、このように追う側が詰めを欠きミスやトラブルを誘発する一方で、フェラーリが実に柔軟に対応している点である。シーズンはこれから。そろそろ追う側も、新・対抗戦略で行くべきときがきた。

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