SCORE CARDBACK NUMBER

絶えず進化を続けるJGTC、次への思惑。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2005/02/03 00:00

 野球の本場アメリカはメジャーリーグに日本選手が進出し活躍したことが、国内プロ野球人気の低落の原因になったと言われている。ファンの関心が、よりレベルの高いアメリカ野球へ引きつけられてしまったからだ。Jリーグも、同様の問題を抱えていると聞く。実は、国内四輪レース界では'80年代には既に同様の事態が起きている。F1日本グランプリが開催されるようになり、ファンの目がF1を頂点とするヨーロッパレースの方へ向いてしまったのだ。

 それをきっかけに、バブル経済破綻を経て国内レース界は現在に至る長期低迷に陥った。しかし全日本GT選手権(JGTC)だけは逆風の中で国内ファンの心をつかみ、発展を遂げた。現在JGTCは、毎レース大観衆を集めて盛況を誇るシリーズ戦となった。

 発展の要因は二つ。レースの中心たるヨーロッパのレースと一線を画し敢えて日本独自の規則を設けた点と、シリーズを運営するGTアソシエーション(GT―A)が環境の変化を敏感にとらえ先手を打つようにこまめな軌道修正を行った点である。独自路線を歩み時代に先んずれば相応の抵抗を受けるのは当然だが、それを恐れずGT―Aが前進を続けたからこそJGTCは栄えた。

 現状に甘んずることなくGT―Aは今年、さらに一歩を踏み出す。これまで全日本格式で行われていたシリーズを、国内7戦に中国戦、マレーシア戦、アメリカ戦を加えたアジア中心の国際シリーズとして「スーパーGT(仮称)」と改名改組するのである。

 ファンの関心がヨーロッパへ向かう中、GT―Aは安易にそれを追わず独自のレースを育て、イベントの方を海外へ拡大し国際化を期す。狙うのは、ファンの流れとは逆にヨーロッパから参加チームをアジアへ引き寄せるカウンターパンチだ。野球やサッカーとは少少事情が異なり、日本の四輪レースはF1はともかくその他本場のレースと比較しても、必ずしもレベルが低いというわけではないから確かに狙い目はある。

 日本国内で生まれ発展したシリーズ戦が国際化するのは史上初めてのこと。停滞感の漂う国内四輪レース界のみならず、世界のレース界あるいはプロスポーツ界の構造に一石を投ずることになるかもしれない試みとして注目したい。

ページトップ