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“オシム型”を貫く柳本ジャパンへの期待。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

photograph byToshiya Kondo

posted2006/10/12 00:00

“オシム型”を貫く柳本ジャパンへの期待。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

 10月31日から国内各地で行われる女子バレーボールの世界選手権を目指し、日本代表が最後の強化合宿を続けている。アテネ五輪5位の日本は地の利を生かして悲願のメダルを狙うが、前哨戦となったワールドグランプリでは1次リーグを突破して2大会連続の決勝ラウンド進出を果たしたものの、強豪国との戦いとなった決勝ラウンドでは屈辱の全敗。最下位の6位に終わった。柳本晶一監督は「いい経験になった。世界選手権に向けて更に強いチームを作っていく」と“収穫”を強調したが、長年の課題である高さとパワーへの対応はいまだに解決されていない。

 柳本監督が実践しているチーム作りは、サッカー日本代表のオシム監督とよく似ている。合宿や試合ごとに次々と新しい選手を招集し、過去の実績や名前には一切こだわらない。早いパス回しで相手のディフェンスを振り切る戦術を第一とし、スルーパスやスパイク1発で不利な局面を打開できるようなエース的存在を作らないところも同じだ。もちろん2次元のサッカーと3次元のバレーボールを同列に論じることはできないが、2人の考えが似通っているのは間違いないだろう。

 ただ、どちらも今の段階では周囲を納得させる結果が出せていないのも事実。アテネ五輪以後、柳本監督は「変化」と「スピード」を重視したチーム作りを進め、昨年後半からはそれに「高さ」を加えるように努めてきた。セッター竹下佳江のトス回しは確かに世界の一級品だが、159cmの身長がチームの弱点に変わることも多い。そこで今回のワールドグランプリでは182cmの木村沙織にもトスを上げさせ、レフティーの高橋翠も加えた「3セッター制」を試した。攻撃面では中国出身で'02年に日本国籍を取得した小山修加と、パワーのある19歳の石川友紀を起用。落合真理も5年ぶりにコートに立った。特に3m15の最高到達点を誇る小山は決勝ラウンドでも大活躍し、チームに「高さ」という新たな可能性を与えた。

 '08年の北京五輪を最終目標とする柳本ジャパンにとって、今はまだ試行錯誤の段階。結果を求めるのは酷だろう。それでも日本で行われる世界選手権では、それなりの成績が要求される。チーム作りを進めながら勝つことは至難の業だが“柳本マジック”に期待したい。

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