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適切なレフェリングに必要なシステムとは? 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2008/03/13 00:00

適切なレフェリングに必要なシステムとは?<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

 「あ〜あ」

 スタンドからため息がもれた。日本選手権1回戦の近鉄×慶大、前半16分に慶大のトライが認められた後、リプレーがスクリーンに映し出されたときだ。大画面には、颯爽とインゴールに滑り込む慶大CTB濱本将人が右手で掴んだボールが、グラウンディング寸前、近鉄FB坂本和城のタックルを腕に受け、見事にノックオンした場面がデカデカと映し出されていたのだ。

 こんなとき、W杯などの主要国際試合なら主審はすぐにビデオ確認を要求。映像判定室に控える審判が複数の角度からの映像を確認し、適切な判定のための助言を主審に送る。だが日本にはそのシステムが導入されていない。全試合で実施するには設備、予算、マンパワーのすべてが足りず、一部の試合に導入しては不公平だから、というのが理由だ。

 だから、今回も判定は責められない。レフェリーに事実の決定を委ねなければラグビーは成立せず、決定は迅速さが求められる。問題は、微妙な場面を確認できる映像があり、すぐ公になるのに、レフェリーはそれなしで判定しなければならないことだ。トップレフェリーの一人、相田真治さんは「テレビ中継のある試合だけでも、その映像でできる範囲でビデオ判定を導入してほしい」と話す。

 拙速を戒める意見もある。2年連続で欧州6カ国対抗の線審を務めた平林泰三さんによれば、IRBにはビデオ判定を廃止しようという声もあるという。フランスW杯でも「それはOKだろ」というトライの確認に時間を費やし、興醒めしてしまう例が散見された。

 では、どんなレフェリー支援システムが可能だろう……そう思案した記者は、セブンズで置かれるインゴールジャッジを思い出した。主審と線審の死角でインゴールにもつれ込んでも、そこで待ち構える審判がいれば迅速で正確な判定が可能だ。「それも人がいない」と言われそうだが、会場ではまだまだ元気なレフェリーOBをよく見かけるではないか。

 件の近鉄FB坂本のタックルは、相手トライの瞬間まで諦めずに追い続けた素晴らしいプレーだった。それは国際舞台で日本代表にも求められるもののはず。レフェリングは、そんな選手のひたむきさを受け止める存在であってほしい。

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