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様々な現象から見える、ヤンキース帝国の衰退。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2008/09/25 00:00

様々な現象から見える、ヤンキース帝国の衰退。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「若手への転換を図りながら8年ぶりの王座奪回を目指す」(ブライアン・キャッシュマンGM)という目論見はものの見事に外れ、ヤンキースの14年連続プレーオフ進出は風前の灯だ。

 先発ローテーションに抜擢された新人フィル・ヒューズ(22)とイアン・ケネディ(23)は、メジャーの厚い壁に跳ね返されたばかりでなく、故障で戦線を離脱。ともに未勝利のまま、合わせて8敗を喫した。さらに、昨年終盤セットアップマンとして大活躍したジャバ・チェンバレン(22)は、シーズン途中からの先発転向が裏目に出て、右肩を痛めて8月に約1カ月間DL(故障者リスト)入りした。終盤に向けての反撃のシンボル的存在であり、チームに新時代をもたらすべき若手トリオの最後の牙城が姿を消した時点で、今季のヤンキースは終わっていたのかもしれない。

 選手年俸の総額がメジャー唯一の2億ドルを突破した金満球団の敗因は、もちろん若手の大誤算だけではない。

 そもそもの躓きは、ジョージ・スタインブレナーが事実上オーナーを引退し、今季から実質的な球団経営を2人の息子、ハンクとハルに任せたところから始まったように思う。世代交代で、様々なシステムが変更され、監督を含めた球団スタッフの顔ぶれも変わるのは当然だが、それがスムーズにいったとは思えないのだ。

 その象徴ともいえるのが、昨年オフのAロッド(アレックス・ロドリゲス=33)とのFA契約だ。交渉が決裂して一度は退団したのだが、ヤンキースに未練を残すAロッド側の猛烈なアタックでハンクが翻意。しかも10年2億7500万ドルの超ビッグな契約を交わしたことだ。Aロッド抜きのチームについてコメントまで出していたチームメイトが複雑な気分になり、チーム内に微妙な空気が流れたことは想像に難くない。

 確かに、Aロッドは打率3割8厘、32ホーマー、92打点(9月8日現在)を記録しているが、ここぞという場面では持ち前(?)の勝負弱さが目立つ。得点圏打率は2割7分、満塁での打率に至っては2割3分1厘しか残していない。

 世代交代の真っ只中で行われたプロスポーツ史上最大の契約が、ヤンキース黄金時代の終焉を告げる引き金になったとしたら、何という皮肉だろう。

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