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今、最も無謀な戦いに挑む柴田勝頼という男。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

PROFILE

posted2004/07/15 00:00

 梅雨もなかば、藤波辰爾社長が副会長に横滑り、元経営コンサルタント草間政一氏(53)が新社長に就任。創立者・アントニオ猪木の意向によって動かされた新日本のトップ人事などに関心はない。ファンの興味は24歳の若武者・柴田勝頼のIWGPヘビー級王者初挑戦に注がれている。

5・3東京ドームで武蔵(正道会館)に2R2分KO負け、2度目のK―1挑戦でリベンジを果たせなかった柴田だが、7・19札幌・月寒グリーンドームで、こともあろうに第38代王者藤田和之(猪木事務所)にベルト奪取をかけて牙をむく。

 元祖野獣の藤田は5・22K―1ROMANEXの旗揚げ戦でボブ・サップを撲殺。ビースト攻略の勢いに乗って6・5大阪で王座決定戦に挑み、棚橋弘至(27)をKOして新王者になったばかり。注目の初防衛戦は、本命の中邑真輔(24)が挑戦を回避。そこで、格闘志向の柴田が失地回復を狙って名乗りを上げたのだった。が、この勝負、どう見ても柴田に勝ち目はない。藤田の圧倒的パワーに押しまくられ、棚橋同様、いとも簡単に転がされるだろう。喧嘩度胸だけで勝てる試合ではないはずだ。

 しかし、柴田の将来を見据えた場合、決して無謀とばかりいえぬタイトル初挑戦だ。柴田は三重・四日市工高レスリング部出身。父親は元プロレスラーの柴田勝久氏。マスクもいい。183cm、103kg。バランスのとれた体はしなやかだ。キャリア5年。素質と格闘センスは同年代の中邑に決して劣ってはいない。この夏の大勝負の経験をばねに大きく飛躍する素材である。

 メキシコ修行時代、ルード(悪党)として鳴らした父勝久氏も「よくやっているよ。センスも度胸もいい。とうに追い抜かれたよ」と息子の活躍ぶりに目を細める。周囲は棚橋、中邑、柴田を称して「新闘魂三銃士」と呼ぶ。だが、本人は不本意だろう。眼球障害で1年ちかく欠場というブランクがあったからだ。その間、同期の棚橋が頭ひとつリード。そして、後輩の中邑に追いつかれた。過激な言動の裏に柴田のあせりが見え隠れする。

 U―30王者棚橋はすでに完成されたプロレスラーだ。柴田は体力さえつければ、中邑と並ぶエースになれる。7・19札幌大会は8月のG1と連動しているだけに見逃せない。

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