SCORE CARDBACK NUMBER

高校ラグビーの課題、明るい兆し。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

posted2007/11/29 00:00

 300−0。強烈なインパクトのあるこのスコアは、11月3日、全国高校ラグビー大会佐賀県予選準決勝、佐賀工業高校対龍谷高校で記録された。勝利した佐賀工業はこの数年、予選で200点ゲームをマークしていたが、300点には圧倒される。佐賀工業のあげたトライは44個。高校ラグビーは前後半あわせて60分。実質、1分強で1トライをあげた計算になる。観戦していた人によれば、ノーホイッスルトライの嵐だったという。ラグビーは、サッカーのように超守備的戦術をとりスコアレスを狙うのは難しい競技であるから、単純な比較は危険とはいえ、サッカーで1分ごとにゴールが生まれていたら何点になるか想像してみてほしい。

 記録的な点数の試合が生まれた原因の一つは、佐賀県の予選参加が4校という土壌にある。準決勝は実は1回戦であり、しのぎを削りようもないのである。

 佐賀県ばかりではない。全国を見渡せば、参加校数が減少し、予選がひとけたの高校で行なわれるのは珍しくない。例えば島根県は2チーム、しかも1つは出雲高校と松江高専の合同チーム。福井県、香川県は3校だし、山梨、山形県なども今ではひとけたである。部員数を見ても、ピークだった1991年には全国で約5万7000人いたが、今日では約2万8000人。野球を除けば、どの競技も選手数は横ばいないしは減少しているとはいえ、高校ラグビーの減少は際立っている。競技の根幹にかかわる問題だ。

 とはいえ、決して明るい兆しがないわけではない。主に小学生を教えるラグビースクールの数が'05年に初めて400を超え、選手数も年々増加し、ここ10年で約1万8000人から約2万7000人となっているのだ。それは、「ラグビーを普及させたい」という各地にいる指導者たちの熱意の表れである。

 とすれば問題は、その受け皿だ。長年、小学生への普及活動に携わってきた経験のある石塚武生氏(現在は常総学院ラグビー部監督)は、以前こう語っていた。

 「教えると子どもは本当にラグビーが好きになる。そんな魅力があるんです。ただ、中学校に進むとプレーする機会がないのが問題だと思います」

 地域での地道な奮闘を、いかに大きな幹につなげるか。それが課題である。

■関連コラム► 折り重なる接戦。【第88回全国高校大会】 (2009年1月29日)
► 激戦の花園に残されたとある選手の足跡。 (2006年1月26日)

ページトップ