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高橋裕紀の初勝利に、
日本人選手復権の予感。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

posted2006/06/08 00:00

 WGP第5戦フランスGP250ccクラスで、高橋裕紀が念願の初優勝を果たした。ホンダ・レーシング・スカラシップで参戦して2年目。21戦目の初表彰台はいきなりの頂点だった。チームメートで総合首位のA・ドヴィツィオーゾとの熾烈なバトルを制し、チェッカーフラッグを受けた高橋の力強いガッツポーズは、その大きな喜びを物語っていた。「表彰台に立って君が代を聴くのがグランプリに来てからの憧れだった」と、表彰式ではこみ上げてくる涙を堪え切れなかった。

 高橋はワイルドカードで出場した'02年のパシフィックGP(ツインリンクもてぎ)で、高校生ライダーとして3位表彰台に立ち、一躍注目の選手となった。'03年の日本GP(鈴鹿)でも3位。250ccクラスでチャンピオンになった原田哲也、そして加藤大治郎に続く大物選手として、多大な期待を寄せられた。そして'04年に全日本250ccクラスでチャンピオンになり、翌'05年からはスカラシップ2期生としてグランプリ参戦を果たした。

 しかし1年目は転倒が多く、最高位は日本GPの4位だった。グリップのいい日本のサーキットと、平均してミューが低く、路面が荒れているヨーロッパのサーキットとの違いに戸惑ったからだ。高橋の思い切りのいい走りは日本ではアドバンテージだったが、グランプリでは転倒につながった。さらに、経験のない新しいチームからのエントリーだったことが、“生みの苦しみ”を味わう要因となっていた。

 しかし、今年はチームの総合力も上がり、マシンのセットアップも順調に進んだ。それを証明したのが、オフのテストでの快進撃だった。ホンダ勢で常にトップタイム。それが大きな自信となり、その自信が今回の優勝につながった。

 「日本にいたときの表彰台は、ただ勢いだけだった。今回の優勝は、ライディング、マシン作り、レースの組み立てなど、自分の中で勝てる要因を積み上げてきた結果。初めて実感することができる優勝だった」と喜びを言葉にした。

 スカラシップは若い選手をGPに送り込むことで、その成長を促すプログラム。高橋の優勝は、GPという最高の舞台で学べることの大きさ、多さを、改めて教えてくれたような気がする。

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