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NBAの根幹を揺るがす2010年という難問。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2009/01/06 00:00

 NBAはこのところ“2010年問題”に揺れている。各チームが照準を合わせているのは'10年7月1日。レブロン・ジェイムス(クリーブランド・キャバリアーズ)やドウェイン・ウェイド(マイアミ・ヒート)、アマレ・スタッドマイヤー(フェニックス・サンズ)など、多くの大物選手たちが揃ってフリーエージェント(FA)になるときだ。

 まだ先の話と片付けるわけにはいかない。何しろニューヨーク・ニックスやデトロイト・ピストンズなど、大物FAを狙うチームの中には、すでに'10年夏の準備を始めたところもあるのだ。特にニックスは、FA契約に備えてサラリー枠をあけるために戦力的には不利なトレードでもあえて成立させるなど、明らかに'10年狙いの姿勢だ。

 それにしてもチームの視線が1年以上先を向き、今現在が置き去りにされる状況はリーグとしてはあまり健全とは言えないのではないだろうか。「それがFA時代の現実だ。仕方がない」とコミッショナーのデビッド・スターン。リーグとして対応できる問題ではないようだ。

 “2010年問題”の最大の問題は、現代の情報化社会にある。チームがトレードやコーチ解雇で動くたび、あるいは選手がチームに対して少しでも不満をこぼすたびに、'10年夏に向けての憶測や噂が飛び交って大騒ぎとなる。選手やチームに動揺を招く原因ともなりかねない。

 もっとも、'10年FAの筆頭、ジェイムスはチーム内の動揺について聞かれると「ニックスには動揺を招いたかもしれないけれど、僕らにとっては何の問題もない」と平然と答えている。確かに、ジェイムス率いるキャブスは12月14日現在20勝4敗と絶好調。キャブスにとって、ジェイムスを引き止める最善の策は'10年までにできるだけ優勝に近づき、ジェイムスが離れたくないチームを作ることと考えると、'10年に向けての準備は順調に進んでいると言えるだろう。

 約10年前、世の中で“2000年問題”が騒がれたときには、対応策の効果か、大きな問題はほとんど発生しなかった。NBAの“2010年問題”も、キャブスをはじめ、選手を保有するチームの対応策が万全なら、他チームがどれだけサラリーの枠を用意しても、“大山鳴動して鼠一匹”で終わるのかもしれない。

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