SCORE CARDBACK NUMBER

ジャパン初の外国人指揮官。その手腕への不安と期待。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2005/08/04 00:00

ジャパン初の外国人指揮官。その手腕への不安と期待。<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

 ラグビー日本代表に、初めて外国人指揮官が就任する。

 日本協会は日本代表の監督制を廃止。総務・運営面を統括するGM(ゼネラルマネージャー)とグラウンド上の指導に専念するHC(ヘッドコーチ)とに権限を分離し、7月19日の理事会で、フランス人、ジャンピエール・エリサルドのHC就任を決定したのだ。本稿が読者の手に届く頃にはエリサルドが再来日して就任会見を開いているかもしれない。

 フランスの西部ラ・ロシェルで生まれたエリサルドは51歳。27歳でコーチの道に入り、名将ジャック・フルー監督時代の'87〜'88年にはフランスA代表を預かった。今年3月に日本代表のテクニカルアドバイザーに就任。以後アイルランド戦までの3カ月間チームに帯同した。FW担当だが現役時代はSH。現フランス代表SHのジャンバティストは息子である。

 外国人監督招聘の最大の狙いであるキャリアの点では微妙かもしれない。フランスでは2年前に古巣ラ・ロシェルから強豪ベジェに移ったが、今年1月に成績不振で解任された。代表チームの指揮は初めてで、W杯は監督としても選手としても未経験。それでも浜本剛志・強化担当理事は「ここで決めたら、もう'07年W杯まで代えられない」と心中覚悟でいる。

 反面、ポジティブに考えるなら、プロコーチであるエリサルドの目標は自身のキャリアアップ。そのために必要なのはジャパンでの結果だ。どこにも責任を求めない体質が染みついている日本ラグビー界に、結果へのシビアさを運んでくれるなら、ジャパンは前進できるか?

 そしてエリサルドを日本に紹介した張本人、'99年W杯でNZを破ったフランス代表の助監督だったピエール・ヴィルプルーも、チームアドバイザーとして入閣。国際経験を補ってくれるなら……。

 「ラグビーで大事なのは誰が何をするかを決め、それを遂行しながら創造性を失わないこと。喩えるなら、馬に鞍をつけるような感じ」(5月のエリサルド発言)。

 よく響くフランス語で選手を叱咤。オーバーな身振りを交えた熱血指導はどうしたってトゥルシエを連想させる。今春は個々の判断ばかりが強調されたフランス流だが「ジャンはもっと戦い方を決めたがってたと思う」と仏語を解する村田亙は証言した。不安と期待を同じくらい積みこんで、エリサルド丸が船出する。

ページトップ