SCORE CARDBACK NUMBER

3連勝でトップを捉えたロッシの底知れぬ才能。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

posted2004/07/15 00:00

  ホンダからヤマハに移籍したV・ロッシが、シーズン序盤を終えて、6戦4勝と素晴らしい成績を残している。彼が得意とする第7戦リオGPでも勝つようなら、ロッシの最高峰クラス4連覇は、一気に現実のものになりそうだ。

 それにしても、ロッシの底知れぬ才能には、驚かされるばかりだ。ただ速いだけではなく、勝つための体制作り、レースの戦略などにおいて、これまでホンダの後塵を拝してきたヤマハで、“どうすれば勝てるのか”ということを、まざまざと見せつけてくれた。

 体制作りでは、ホンダで3連覇を達成した時のチーフメカニックら4人を引き連れての移籍が話題になった。一歩間違えば、ただの我がままと言われかねないチーム丸ごとの移籍要求も、レースはひとりで戦っているわけではないということの証明となった。そしてロッシが乗ることで、ヤマハYZR-M1の開発も進んだ。彼は正しい方向に開発を導き、常に全力で走ることで、何が足りないのかをアピールしてきたのだ。

 しかし、4勝を挙げたいまも、ホンダ時代のようなアドバンテージがないことは、予選や決勝を走り終えたロッシの上気した顔が如実に物語っている。エンジンのパフォーマンスでは、いまだにホンダが勝っている。いくつかのサーキットでは、確かにヤマハのハンドリングにアドバンテージがあったが、ここまでの勝利は、だれが見てもヤマハのバイクではなくロッシの力によるものだ。

 レース展開だけを見れば、きわどい勝利が続いている。それはホンダ時代も、いまも変わってはいない。しかし、ホンダ時代は、周囲に「逃げようと思えば逃げられる。しかし、テレビに映らないとつまらない」と言うほど余裕があった。いまはそんな余裕はなく、常に100%。否、100%を超えた走りをしているのかも知れない。

 アドバンテージがないから、常に前に出て相手を抑えようとする。そしてタイヤが消耗してきた終盤に一気にスパートを掛ける。エンジンパワー勝負といわれたこの数戦で見せた戦略と集中力は、ライダースキルで抜きん出ていることを証明した。シーズン中盤はヤマハに有利なテクニカルコースが続く。もしかすると、このままロッシはチャンピオンに……いま誰もが、そう思い始めているのだ。

関連キーワード
MotoGP

ページトップ