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期待の新人に課された、“待つ”という仕事。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2007/10/18 00:00

 ドラフト1位指名、期待の新人グレッグ・オーデン(ポートランド・トレイルブレイザーズ)に、開幕前から大きな試練が与えられた。プロ最初のシーズンとなるはずだった今季、彼に課された仕事は“待つ”こと。19歳と若いオーデンにとって、どんな活躍を要求されるよりも難しいことかもしれない。

 9月半ば、右膝関節の軟骨に損傷があることが判明したオーデンは、急きょ、マイクロフラクチャー法と呼ばれる手術(血や骨髄を出して擬似軟骨を作り出すために骨に細かな穴をあける手術)を受けた。完治するのに半年から1年かかると言われる手術だが、他の選手の例を見ると最高のコンディションを取り戻すには1年以上の年月がかかっており、とにかく根気が必要な治療だ。早く復帰しようとして失敗した例も多く、実際に手術を受けたことがある選手たちは一様に「早く復帰しすぎないように」とのアドバイスを口にする。

 ブレイザーズにとっては、この先10年、15年と大黒柱となるべき逸材。当然無理はさせず、ゆっくり回復を待つという。チームも長期的な再建を始めたばかりで他のメンバーも若く、焦って復帰させなくてはいけない理由もない。

 それでも、チームやファンから自分にかけられた期待の大きさを十分すぎるほど理解していたオーデンは、一試合も戦うことなく戦列離脱となってしまったことに強く責任を感じていた。手術直後、チームGM、ケビン・プリチャードの顔を見るや、何度も繰り返し謝ったという。「グレッグと彼の母あわせて最低20回は謝罪の言葉を口にしていた」とプリチャードは振り返る。謝罪し続けるオーデンを見て、「これほどチームのことを気にかけてくれる彼を獲得できて、我々は本当に幸運だった」と心底感じたという。

 長いリハビリ生活に入り、オーデンは気を紛らわすために子犬を飼い始めた。可愛くてしかたない一方で、躾にはまだ苦労している様子。「生まれたときからトイレは外、食べ物は自分の皿からとわかっている犬がいたらいいのに」と、自身のホームページでこぼしている。

 もちろん、そんな都合のいい子犬はいないことを彼は知っている。犬の躾に近道はないのだ。

 膝のリハビリにも近道がないように。

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