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G1でも圧倒的存在感。曙のプロレス専念を願う。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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photograph byEssei Hara

posted2007/09/06 00:00

G1でも圧倒的存在感。曙のプロレス専念を願う。<Number Web> photograph by Essei Hara

 8・12両国国技館。今年のG1は予想もしなかったIWGP前・現王者の決勝対決。棚橋弘至(30)が永田裕志(39)を必殺ハイフライ・フローで沈め、4・13大阪大会の雪辱を果たして初優勝を飾った。期待の中邑真輔(27)は準決勝で左肩鎖関節脱臼。思わぬアクシデントに見舞われ欠場したが、勝っても負けてもお客さんを喜ばせてくれたのは曙(38)だ。周囲にバケボノと言わしめ、圧倒的な存在感を見せてくれた。

 「やっぱりプロレスは楽しいですね。連戦はキツイですけど、一生懸命に歯をくいしばってやっていれば、みんなに伝わりますよ」

 その言葉にウソはない。惚れ直した。新日本・夏の本場所G1クライマックスに初出場。結果は5戦2勝2敗1分けと五分の星。クセのある相手によくがんばったと思う。最後に息切れしたが、敢闘賞に値する活躍だった。

 横綱の入場シーンには、昭和プロレスの原風景がある。203cm、215kgの巨体を揺すってトップロープをひとまたぎ。そのリングインだけでも、ドッと観客席が沸く。8・5大阪の開幕戦。永田をブチ投げ、踏みつけたままで土俵入りのポーズ。やっぱり絵になる。

 圧巻だったのは8・11両国の天山広吉戦。ポストの2段目から後ろに投げ落とすブロックバスターを仕掛けたのだ。そればかりではない。全体重を浴びせるエルボードロップは、全盛時の“黒い呪術師”ザ・ブッチャーの一発を彷彿とさせるド迫力だ。

 今後の曙の試合予定は分からないが、このまま一時休場では、あまりにももったいない。プロレスは、シリーズ巡業をこなしておぼえるもの。昨年の秋、長州と組んでG1タッグリーグ戦に出場して、プロレスラーの感覚をつかみかけたのに、その後また総合格闘技のリングに戻って「負」の部分だけ背負わされる。このままその繰り返しでは、宝の持ち腐れに終わってしまう。

 曙をG1にスカウトした蝶野正洋も「適応力とセンスは素晴らしい」とベタ褒めだ。これだけ客受けするキャラは見当たらない。K―1、HERO'Sを統括するFEG代表の谷川貞治氏にも、プロレス界のために、長期貸し出しを一ファンとしてお願いしたいところである。

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