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欧州の名物会長にみる、「話す力」の重要性。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2007/09/20 00:00

 8月下旬にJリーグの社長たちが欧州視察にやってきた。10人1組で3グループに分かれて、試合観戦や講習会が行われた。国外の長所を学ぼうとする姿勢は評価されるべきだろう。

 それでは、彼らが見習わんとする欧州クラブ幹部の長所とは何だろうか? 名物会長と呼ばれる人たちの経歴を見ると、ひとつのことが明らかになってくる。

 レバークーゼンをCLに出場する国際的なクラブに引き上げ、「ドイツ一の会長」と呼ばれたのがライナー・カルムントだ。すでに健康上の問題でレバークーゼンの会長職から退いたが、体重100kg超級のでっぷりとした体を覚えている方もいるだろう。

 カルムントはもともとレバークーゼンのスタジアムアナウンサーだった。愛嬌あるキャラクターで試合の雰囲気を盛り上げ、そういう口のうまさが会長になってからも交渉に生かされた。エメルソンやルシオなど、ブラジル代表選手を輸入するパイプを作った功績は大きい。

 クラブ幹部ではないが、FIFAのジョゼフ・ブラッター会長は、もともと自治体や企業の広報をやっていた。子供のときから結婚式の司会を任されるほど話がうまく、広報をしたことで話術はさらにレベルアップした。

 数年前にレアル・マドリーで銀河系軍団を作った会長、フロレンティーノ・ペレスは元政治家で、「毎年1人大物を獲得する」と宣言したように言葉の力をよく知る人物。バルセロナのジョアン・ラポルタ会長は元弁護士で、2003年に「ベッカムを獲得する」という公約(結局失敗したが)をぶちあげて、会長選挙で逆転勝利した。

 名物会長たちに共通する能力──。それは「話す力」ではないだろうか。

 もちろん会長には経営学や法律の知識は不可欠だが、それと同じくらいに、クラブの顔として「話す力」が重要になる。欧州のクラブでは、地味な会長など歓迎されない。目立たなければ負けなのだ。

 日本のクラブ幹部は、普通のビジネス畑を歩んできた人が多く、大人しい印象がある。手っ取り早く、話すのを専門にする業界──芸能界や広報──から人材を抜擢するクラブが出てくれば、日本でも社長の重要性の別の一面に気づいてもらえると思うのだが。

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