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迷走する盟主、新日本の奮起に期待。 

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門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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posted2009/01/16 00:00

 '08年のマット界を如実に物語るのが12月17日、都内のホテルで行なわれたプロレス大賞授賞式の風景だった。部外者の石井慧が新人賞受賞の澤田敦士(小川道場)の祝福に駆けつけ、最優秀選手賞の武藤敬司(全日本)と一緒にラブポーズを決めたのだ。

 振り返れば'08年は全日本の活躍が目立ち、後半に至っては北京五輪柔道金メダリストの石井慧のプロ格闘技転向の話題に振り回された年だったが、表彰式の壇上に新日本の選手の姿がないのだ。35回を数えるプロレス大賞の歴史の中で新日本の選手が殊勲、敢闘、技能の3賞からも漏れたのは'05年以来2度目のことだ。

 授賞式パーティーを「俺たちのもの」とばかりに新日本勢が闊歩していたのも今や昔。この状況は、坂口体制のもとでオフィシャル・パンフレットの執筆に携わったものとしてチトさびしい。

 新日本は'09年3月で創立37周年を迎える。親会社ユークス、菅林直樹社長の新体制になって約2年、決して戦力は落ちていない。それなのに伝統のIWGPベルトを敵将・武藤に奪われ、4度の防衛を許し、ねじれ国会のように閉塞感が漂っている。

 夏のG1、秋のG1タッグリーグ戦。二つの看板イベントも総花的で散漫だった。G1タッグに至ってはこんなチームが? というチームまで出場し、史上最多の12チーム。A・Bブロックに分けてのリーグ戦を行なうほどのメンバーと規模のものだったのかどうか疑問が残る。緊張感の欠けた興行ではせっかくのブランド商品が泣く。再考を促したい。

 幸い、棚橋弘至、中邑真輔、後藤洋央紀と若さが売りのテクニシャン3本柱が揃った。タッグは極悪コンビの真壁、矢野組が軸となってどうとでも展開できる。あとは現場責任者の度胸とマッチメーク次第である。どんな動きになるかわからないが、個性的なキャラ、若い有望選手は十分揃っている。フロントは彼らの潜在能力を伸ばすため企業努力をして下地を作って欲しい。創設者アントニオ猪木のパフォーマンスではないが、「元気があれば何でもできる」──。

 新春恒例の1・4東京ドーム大会で'09年も幕を開けた。新日本は今年こそ、プロレス界の盟主としての自信を取り戻して欲しい。

■関連コラム► オールスター開催を睨み過熱するジュニア戦線。 (2008年10月23日)
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