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繰り返される採点不祥事。振り回される選手たち。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2004/11/04 00:00

 アテネ五輪での採点ミスをきっかけに、体操界が改革に乗り出した。国際体操連盟(FIG)のブルーノ・グランディ会長が10月9日に都内で会見して新採点規則の導入を提案すると明らかにしたもので、早ければ来年の世界選手権から暫定的に実施される可能性もある。

 アテネ五輪の個人総合では梁泰栄(韓国)の平行棒の採点の際に、本来なら10点満点の構成を9・9点で採点してしまい、その結果、2位のポール・ハム(米国)が金メダルを獲得した。また、種目別決勝では観客のブーイングでロシアのネモフの得点が変更されるなど、大きな批判を浴びたのは記憶に新しい。

 グランディ会長が示した新採点方式は、まず10点満点と決められている「演技価値点」の上限を廃止し、新たに技の正確さを評価する10点満点の「実施得点」を新設する。「実施得点」は2倍して合算され、場合によっては合計得点が30点を超えることもありうる。得点に上限がなくなることで世界新記録の表記も可能となり、同会長は「体操に対する関心が高まるはず」と期待感を示した。

 この新方式が正式に導入されるまでにはまだ紆余曲折があるだろうが、少なくとも'08年の北京五輪がアテネとは違う採点方式になることは間違いない。新方式がそのまま採用されるなら、基本的な演技を確実にこなすよりも、いちかばちかの大技を繰り出した方がより高得点が期待できるようになる。基本に忠実な演技で団体金メダルを獲得した日本にとっては不利となる可能性が高いだけに、早めの対策が必要となってきそうだ。

 五輪での採点競技の不祥事としては、'02年ソルトレークシティー冬季五輪でのフィギュアスケートが知られている。審判の買収疑惑に揺れたスケート界は大会後に6点満点から減点していく方式を廃止し、ジャンプ、スピンなど演技の要素ごとに得点を累積していく方式に変更した。だが、昨季はまだ新旧の採点方式が入り混じり、荒川静香が優勝した世界選手権は旧方式の採点だった。その意味では完全に新方式に変わる今季が本当の勝負となる。トリノ五輪まではあと1年4カ月。残された時間は体操の選手よりはるかに少ない。体操界の今後の動向とともに、先に改革に取り組んだフィギュアスケート界の変化にも注目したい。

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