SCORE CARDBACK NUMBER

“信じる道を行け”北島康介へのエール。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

photograph byPHOTO KISHIMOTO

posted2006/08/03 00:00

“信じる道を行け”北島康介へのエール。<Number Web> photograph by PHOTO KISHIMOTO

 競泳男子平泳ぎの北島康介(日本コカ・コーラ)が体調を崩し、8月に開催されるパンパシフィック選手権(カナダ・ビクトリア)への出場が危ぶまれている。同選手権は来年3月の世界選手権(オーストラリア・メルボルン)代表を決める大事なレースでもあり、もし欠場となれば、2年後の北京五輪戦略にも影響が出てきそうだ。

 今季の北島は右ひじ痛で2月の日本短水路選手権を欠場。3月の米国合宿中には両ひざを痛め、日本選手権で世界選手権の代表に選ばれることができなかった。更に6月末には、扁桃炎を患って39度の高熱に苦しめられた。その影響で今月から予定していた米国での高地合宿を断念せざるをえなくなり、現在は米国にいる平井伯昌コーチと連絡を取りながら国内で調整を続けている。扁桃炎自体は完治すれば問題ないが、もともと両ひざの故障で筋力トレーニングが不足していたところに今回の発熱によるブランクが重なったわけで、コンディション的には最悪に近い状態と言っていいだろう。

 パンパシや世界選手権を欠場しても、北京五輪まではまだ時間がある。とはいえ心配なのは、精神的なダメージの方だ。アテネ五輪で、競技者として最大の目標である金メダルを獲得し、以後はモチベーションを保つのに苦労してきた。そこへもってきて、故障や体調不良で試合に出られず、練習も満足にできないという状態が続けば「だいぶ精神的なイライラがある」(平井コーチ)のは当然だ。アテネ五輪後にやはり同じような状況に陥った陸上男子ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)は思い切って1年間休養したが、北島はあくまでも試合出場にこだわった。それは自分の泳ぎ一つでスタッフやスポンサーを支えるプロとしての責任感だったのだろうが、結果的にそのプロ意識が今、北島を苦しめているのだから難しい。

 現時点での選択肢として考えられるのは2つ。応急措置的なトレーニングでとにかくパンパシに出場し、負けを覚悟で日本代表としての責任を果たすか。それとも明日の復活のために今日の屈辱に耐えて「長期休養」を選択するか、だ。どちらを選ぶにしろ、大事なことは自分の選んだ道を信じることだろう。進むべき道を全力で泳げば、その先には必ず明るい光が見えてくるはずだ。

関連キーワード
北島康介

ページトップ