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世代交代の波によって、メジャーの浄化は進む。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2008/01/31 00:00

世代交代の波によって、メジャーの浄化は進む。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 暗雲垂れこめるメジャー球界に、ささやかにだが、光がのぞいてきた。ドーピングの実態を報告した『ミッチェル・リポート』の勧告に添う形で、ドーピングや野球賭博などの禁止行為に対する調査部門を設置し、さらにNFLと共同でドーピング研究などを行うための基金創設といった動きがあるからだ。遅きに失した感はなくもないが、これまでの対応を考えると、確かな前進ではある。しかし、90名近くに及ぶリポートの実名公表によって受けたイメージダウンは、再発防止のシステム作りだけで回復されるものではないだろう。

 かつてメジャーは八百長問題や泥沼ストによる大ピンチを、ベーブ・ルースのホームラン量産やマーク・マグワイアとサミー・ソーサのアーチ合戦などで脱出してきた。スーパーヒーローが出にくい現状にあっても、希望はある。

 リポートが発表された際には現役、OBを問わず多くの談話が洪水のように流れた。その中で印象的だったのは新人王に選ばれたダスティン・ペドロイア(レッドソックス)の使った『クリーン・ジェネレーション』という新鮮な言葉だった。彼の発言を要約すると──。

 「リポートの内容にはショックを受けたが、我々はステロイドを知らない、いわばクリーン世代なんだ。そういう若い連中が台頭し、球界は間違いなくクリーンになってきている。今後は正しい方向に進んでいくはずだよ」

 そして、これからはパワー頼みではなく、基本的な戦術を重視する野球に戻っていくという具体的な見通しも示した。

 確かにクリーン世代の旗手になり得る逸材は豊富だ。まずペドロイアの僚友で、スピード溢れるプレーが持ち味のジャコビー・エルズバリー。永遠の宿敵ヤンキースには、エルズバリーと同じネイティブ・アメリカンの血を引く豪腕ジャバ・チェンバレンがいるし、エース候補のフィル・ヒューズも控える。さらにダイヤモンドバックスには、先発投手と一塁手の両刀遣いになる可能性が取沙汰されるマイカ・オウィングスがいる。有望な若手は枚挙にいとまがない。

 '80年代からメジャーの顔だったボンズ、ロジャー・クレメンスが姿を消そうとしている'08年は、球史に残る世代交代の年と位置づけられることになるだろう。

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