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世界選手権の不振を糧に、
五輪全階級制覇を目指す。
~女子レスリング弱体化の危機!~ 

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横森綾

横森綾Aya Yokomori

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photograph byUniphoto Press

posted2009/10/28 06:00

世界選手権の不振を糧に、五輪全階級制覇を目指す。~女子レスリング弱体化の危機!~<Number Web> photograph by Uniphoto Press

ロンドンでの五輪3連覇を見据えて、吉田はタックルに頼らない新たなスタイルを模索中

 金メダル2個で少ないと言われるのは、日本ではもう女子レスリングくらいだろう。アテネ、北京と五輪の4階級すべてでメダルを獲得し、そのうち2階級は連続金メダル。日本女子は世界一が当たり前と思われている。

 9月下旬に行なわれた7階級実施の世界選手権では、多くのメダル獲得が期待されていた。しかし結果は金2、銅1。吉田沙保里の55kg級7連覇はさすがだったが、全体としては五輪の印象からは遠い、寂しい印象を与えてしまった。

単調なタックルだけでは世界レベルには通じない。

 ここ数年、日本は経験豊富なメンバーで世界大会に臨んできたが、今回は若手中心に入れ替え、事前目標(全階級メダル、うち金3)に届かなかった。ならば、五輪のメダリストたちが揃えば不振は免れたのか。「そんな簡単なことではない」と栄和人・女子強化委員長は言う。

 日本にはいない、個性の強い選手が世界中に増えた。経験が浅い今回の日本代表は、タックル中心で構成するいつもの試合展開を崩されただけで実力を発揮できず、当惑したまま試合を終えていた。

 また、世界中の新世代が頭角を現し始めているのも敗因のひとつと言える。今回の世界選手権では20歳前後の若手が活躍し、世界的に競技レベルが上がりつつあることを示した。伸び盛りの彼女たちが相手では、メダリストといえど日本が優位に立てる保証はない。

ロンドン五輪で全階級制覇を狙う、日本の本気度。

 このまま日本は弱体化するのだろうか。

 追われる立場になっても、日本は強さを次世代につなげる手はずを、すでに整えている。ジュニア選手を積極的に全日本合宿へ参加させ、海外遠征の機会を増やして経験を積ませた。'07年のジュニア世界選手権は銀メダル1個に終わったが、'08年は金2、銅3、'09年は金1、銀1、銅2と着実に結果を残している。

 思い返せば、五輪正式種目に決まった直後の'01年も世界選手権は金メダル2個に終わり、その後が危ぶまれた。だが、当時ジュニアで活躍していた吉田らが成長し、アテネで好成績を収めた。

 栄強化委員長はこれから1、2年後に今の強化が実ると見ており、「ロンドン五輪までの間に、あと4人は世界王者を生み出したい」と目論んでいる。

 五輪2大会連続で全階級メダルを実現した日本の女子レスリングは、ロンドンでの全階級制覇を本気で狙っている。

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