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球宴で存在感を示した
もう一人の“史上初”。 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

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photograph byYukihito Taguchi

posted2007/07/26 00:00

球宴で存在感を示したもう一人の“史上初”。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 球宴史上初となったイチローのランニング本塁打。今年の球宴で、もう一つの史上初があった。ラッセル・マーティン(ドジャース)が、カナダ出身の捕手として初めて先発出場を果たしたのだ。ファン投票でポール・ロデューカ(メッツ)に30万票近い差をつけ、ナ・リーグ捕手部門のトップの座に輝いた。「子供の頃からずっと夢見ていたんだから最高の気分さ。(スター揃いで)駄菓子屋さんにいる子供みたいになるだろうけど、明日は全力でプレーすることを約束するよ」。カナダ国旗のシールを貼ったテレビカメラが取り囲む中、初々しく語っていたのが印象的だった。

 昨年の開幕時はマイナーリーガーだった。正捕手のナバーロが故障したことで5月5日に初昇格。そこから一気にブレイクし、ルーキー捕手としてはメジャー史上3人目の10本塁打&10盗塁を記録した。今季は前半戦を終えた段階で打率3割6厘、11本塁打、60打点と3部門でチームトップ、16盗塁は同2位。攻撃でも間違いなくドジャースの中心選手に成長した。球宴に出場した同僚のブラッド・ペニー投手は「彼は基本的にパッジ(I・ロドリゲスの愛称)のようなタイプだね。こんなに打って走れるキャッチャーは、なかなかお目にかかれるもんじゃない」と絶賛した。

 マーティンはファン投票で選ばれたため先発し、6回までプレー。同じくメジャー2年目で初出場となった37歳のベテラン斎藤隆は7回からの登板だっただけに、残念ながらドジャースバッテリーの呼吸の良さを球宴で見ることはできなかったが、斎藤は強打のア・リーグ打線を三者凡退と堂々たるピッチングを演じた。

 その好投を陰で支えたのが他でもないマーティンだった。試合前、控えの捕手ブライアン・マキャン(ブレーブス)に斎藤の情報を事細かに教えておいたのだ。

 「(マキャンとは)サインの確認をする必要がなかったし、僕は眼が悪いのでそれも伝えてくれていた。一緒にはプレーしなかったけど、ラッセルがいたことで本当に違和感なくスムーズにやれました」と斎藤は喜んだ。

 弱冠24歳にして、心憎いほどの世話女房ぶり。近年、悩まされた捕手不足を解消するマーティンの存在が、プレーオフを狙うドジャースにとって欠かせない。

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