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中国人金メダリストの「努力」あれこれ。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

photograph byJMPA

posted2008/09/25 00:00

中国人金メダリストの「努力」あれこれ。<Number Web> photograph by JMPA

 北京五輪が閉幕してから4週間が過ぎた。今あらためて感じるのは中国の金51、銀21、銅28という圧倒的な数字だ。典型的な国威発揚型の五輪らしく、選手たちは国のため、国民のために身を削るような「努力」を重ねてきた。豊かになった今の日本人には想像もつかないような「努力」を少し紹介してみたい。

 女子高飛び込みで中国に12年ぶりの金メダルをもたらした15歳の陳若琳は136cm、30kgの体型を維持するために想像を絶するダイエットを続けた。もちろん、おやつなどは論外。なんと五輪までの1年間、彼女は1度も夕飯を食べなかった。合宿中に他の選手が食事に行く時でも、1人だけ部屋に篭もり、空腹を忘れるためにテレビを見た。それでも我慢できない時は早めに寝た。日本の選手も体重の維持には気を配っているが、こんな過酷なダイエットをしている選手はまずいないだろう。同じ高飛び込みの男子シンクロで2連覇を達成した火亮は半年以上も家に帰らなかった。それ以前の6年間でも、家に戻ったのは20日間足らず。両親が自宅を新築した時にはあきらめて息子の部屋を作らなかったため、たまに帰宅した時には両親がベッドに寝て、火亮は床に寝ていたという。

 女子柔道の?東妹も、競技に専念するために1年間も夫や娘に会わなかった。女子卓球の王楠は甲状腺ガンを患っていたにもかかわらず練習をやめなかった。

 これらの話は国民を奮い立たせる模範的な「努力」として、中国国内では大々的に報道された。我々日本人にはとても理解し難い「努力」だが、中国の選手たちがここまでして金メダルにたどり着いたのは紛れもない事実だ。金メダルとは何なのか、スポーツとはいったい何なのか、今回の北京五輪はそんなことをあらためて考えさせてくれた大会だったような気がしてならない。

 さて、14年間に渡り様々な形で五輪に関する原稿を書かせていただきましたが、当コラムを私が担当するのは今回が最後になります。単なる選手の代弁者にならないよう、常に中立の立場でいい物はいい、悪い物は悪いと伝えてきたつもりですが、いかがだったでしょうか。今後は一読者として「ナンバー」に厳しい目を向けていきたいと思います。長い間のご愛読、本当にありがとうございました。

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