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いま輝きを放つ、
杉山愛の“ひたむき”。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2006/04/20 00:00

いま輝きを放つ、杉山愛の“ひたむき”。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 来週末の22、23日に、東京・有明コロシアムで女子国別対抗戦フェド杯世界グループ2部初戦日本対スイスが行われる。その代表に、杉山愛が2年ぶりに復帰することが濃厚となった。正式なメンバーの決定は大会10日前なので、本稿執筆時点では、まだ発表されていない。しかし、すでに杉山は、出場の意向を日本テニス協会に伝えているという。30歳になった杉山だが、いまだに世界のトップ30をキープし、ここに来て、再び好調なプレーを見せている。今季の滑り出しは、胆のう炎を患い、波に乗れなかった。スタートから勝ち星なしの5連敗。ようやく2月下旬のカタールオープンで勝ち星を挙げると、スイッチが入った。同大会でベスト4に進むと、続く米インディアン・ウェルズ、マイアミの2大会でベスト16、ベスト8と好成績を残した。

 杉山のテニスに対するひたむきさには、素直に頭が下がる。以前、続けることに意味があると書いたが、杉山ほど、それを実践している選手はいないだろう。これまで、何度も気持ちは切れそうになった。その都度、自分を奮い立たせ、再びスタートラインに立たなくてはならない。体力的にも、年齢を重ねるほど辛くなる。やめてしまえば、どれほど楽か。今、杉山がやめても、誰も文句は言わないだろう。それでも、体を磨き上げ、気持ちをつないで続行する活力が、杉山のすごいところである。3月に、'05年WTA(女子テニス協会)ツアー・アワードが発表され、杉山はハンチュコバとのペアで、世界のファンが投票した「最も好きなダブルスペア」に選ばれた。杉山のテニスに対する意欲が、また評価された結果だ。

 2年前の対アルゼンチン戦を最後に、杉山は代表から身を引いた。当時、シングルスで初めてトップ10入りをしたこともあり、個人の世界ランクのさらなる上昇に重きを置いた。引退の文字も、頭をよぎっていたのだろう。残り少ないテニス人生を、代表よりも個人の成績に賭けたのだ。しかし、その杉山が、再び代表に戻ってくる。「今までのキャリアの中で、もしかしたら一番エンジョイできてるかも」と、今の好調さを自身のホームページで表現している。「これなら、まだ2年はやれるかも」。頼りになる日本のエースに、まだ引退の文字は似合わないのかもしれない。

■関連コラム► 若手を育てるために。女王・杉山愛の決断。 (2007年5月31日)
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