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清成龍一の例に見る、ホンダ流ライダー育成法。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

posted2005/06/23 00:00

 英国スーパーバイク選手権(BSB)に参戦している清成龍一が、素晴らしい活躍を見せている。1戦2レースを行うBSBで、6戦(12レース)を終えて6勝。転倒で1レースを失い、その転倒の影響で3レース欠場しているので、実質9レース6勝という素晴らしい勝率である。現在、総合3位。この調子で勝ち進めば、チャンピオンも夢ではない。

 清成がその名を知られるようになったのは、2003年のことだった。この年の開幕戦・日本GPで、日本を代表するトップライダー加藤大治郎選手が事故で亡くなった。その代役として抜擢されたのが、ほとんど無名の清成だった。加藤選手の所属していた「ホンダ・グレッシーニ」の“日本人選手を”という強い要望があったからだが、清成はこのとき20歳。MotoGPどころか海外レースの経験すらない彼は、当然のように散々な成績に終わった。

 翌年、ホンダは清成を契約選手としてイギリスに送り出すことを決めた。監督には元GPライダーの岡田忠之氏を抜擢し、エースライダーにはイギリスで実績のあるベテランのM・ルターを起用した。ベテランと若手という組み合わせは、この世界の常套手段であり、事実上のワークスチーム編成だった。そして、その陣容は、ホンダの彼に懸ける期待を強く感じさせるものだった。

 一般には、MotoGPに清成を送り出したことは時期尚早であり、ホンダの本意ではなかったと言われる。それだけに、BSBへのワークス参戦は、清成を復活させるプロジェクトと言っても過言ではない。その1年目のシーズン、清成はここでも成績を残せず、自信を喪失しかけた。しかし、いつの時代もそうであったように、ホンダは辛抱強く清成を見守り、本人もその期待に応え始めている。

 ホンダはバイクの開発だけではなく、才能ある若いライダーを育てていくことにも力を注いでいる。それはどのカテゴリー、どのクラスでも同様だ。それが層の厚さを生み、ホンダの強さにつながる。若い選手というのは、自信をつけるのも早いが、喪失するのも同じように早い。将来、清成がMotoGPに復活することで、このプロジェクトは完結する。清成が果たしてどこまで成長していくのか。これからも見届けたい。

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