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W杯招致の失敗を、糧にしてとるべき策は。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2005/12/22 00:00

W杯招致の失敗を、糧にしてとるべき策は。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 11月18日午前1時過ぎ。日本ラグビー協会の会議室には、深夜というのに50人以上の報道陣が詰めかけていた。地上波全局とCS併せて8台のテレビカメラは、2011年W杯日本招致決定!の瞬間を捉えようと熱気を発していた。

 だがW杯は日本にこなかった。象徴的だったのはその連絡だ。現地からの連絡を受ける電話機には小型マイクが装着されていた。翌朝の番組で、国際電話で届いた「決まりました!」の声を放送するため、テレビ各局のスタッフが協力し合って何時間も前から準備したものだった。

 1時47分。待ちかねたベルが鳴る。だが電話機を取った日比野招致委員長は、ボタンを押し間違えて電話を切ってしまった。1分後、今度は別の電話が鳴る。マイクの装着されていないその電話機を坂本広報委員長が日比野氏に渡し、日比野氏は「どうぞ」と報告を促す。テレビ局のスタッフたちが息をのんだ……。

 観客数低迷。代表の大敗と、連続する不祥事……。山積する問題を棚上げして「W杯がくればすべてが解決する」と突き進んできたW杯招致だが、落選の報は、そうして隠してきた日本協会執行部の実務能力欠如を露呈しながら届けられた。偶然ではなかろう。

 もはやこれはポジティブに捉えたい。今回落選した理由を早急に整理して、4年後こそ招致を勝ち取れる体制を整えよう。投票で裏切りがあっただの、IRBが閉鎖的だのと批判してる場合ではない。日本が決選投票に進めたこと自体、グローバル化の大義が支持された証拠だ。あとは実務能力を証明するためにも(1)国内試合の観客数増加(2)アジアへのラグビー普及(3)世界ジュニアなどラグビーの国際大会開催。これらを謳い文句ではなく具体的行動に移し、業界ではなく社会にラグビーの価値をアピールするのだ。

 対抗戦初の5年連続全勝優勝を飾った早大は、シーズン中に東芝府中Bと練習試合を組み、FB五郎丸ら中軸選手を別メニューで鍛え直し……一人勝ち状態が囁かれる中でも選手が質の高い経験を積めるよう苦心を重ねている。パキスタンで開かれるU19アジア大会には、年末の花園に出場する高校からも9人が参加を決断した。若い世代は、自分の時間を削ってまで世界へ踏み出そうとしている。

 次は大人が目を覚ます番だ。

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