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新日本と全日本が握手、歴史的合体の伏線。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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posted2006/12/21 00:00

 ドーム興行の休止を宣言して1年。来年創立35周年を迎える新日本プロレスが、武藤・全日本とシェイクハンド。新春恒例の1・4東京ドーム大会が開催されることになった。一部スポーツ紙は、対立関係にあった2団体の合同興行は歴史的なビッグニュースであると報じたが、沈滞ムードのプロレス界にとっては久し振りのクリーンヒットと言える。

 確かに新日本設立者のアントニオ猪木を「非常識だ」と言って新日本を飛び出したあの武藤敬司が、サイモン猪木社長と一緒に合同発表の席についたのには驚かされたが、かといって筆者にとってはさほどショッキングな出来事ではない。

 思い起こせば16年前の'90年1月──。全日本と新日本が外国人選手の引き抜きで激しい興行戦を繰り広げていた時期に、今年11月末で閉館となった東京・キャピトル東急ホテルで「ベルリンの壁は崩れた」という名せりふで馬場・坂口両巨頭が握手したシーンは、私にとってあまりにも衝撃的なものであった。

 両者の接近には米国からの“黒船来襲”という背景とその外国人選手のファイトマネーの高騰などのっぴきならぬマット事情が絡んでいた。馬場・坂口会談は、米メジャー・WWF(現WWE)の単独初興行を阻止しようとしたものだった。それが3カ月後の4・13東京ドームでの全日本・新日本・WWF3団体合同での興行「日米レスリング・サミット」だった。

 ともあれWWF初上陸の頃とは時代背景が違うが、プロレス団体経営における危機管理という面では同じ出来事だろう。業界を引っ張る老舗・新日本、全日本両団体には人気回復のテコ入れ策が託されている。幸い新日本は夏のG1以後、IWGP王者・棚橋、米国修行から帰国の中邑の活躍があって上昇ムード。全日本も年末の看板イベント、世界最強タッグ・リーグ戦は連日超満員続きで好調だったと聞く。

 1・4東京ドームの2大タイトル戦も決まった。IWGPヘビー級は棚橋vs.中邑(12・10名古屋大会)の勝者に太陽ケアが挑戦。3冠ヘビー級は王者・鈴木みのるvs.永田裕志。K―1、PRIDE興行などを意識しての大会なのだろうが成功の目安は4万人の観客動員だ。一夜限りのお祭り騒ぎに終わらずに、プロレスの底力を見せつけて欲しいものである。

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