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本番を前に浜口京子が手にした喜び。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2004/07/15 00:00

 アテネ五輪に出場する日本選手団の主将に柔道男子100kg級の井上康生(綜合警備保障)、旗手にレスリング女子72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)がそれぞれ決まった。日本オリンピック委員会(JOC)では、まず20人の候補をリストアップ。その中から特に金メダルの可能性が高い選手に絞り込み、最終的に2人を選出した。井上はシドニー五輪で旗手も務めており、1人で旗手と主将の両方を経験するのは、夏季五輪では'60年ローマ五輪で旗手、'64年東京五輪で主将を務めた体操の小野喬以来、2人目となる。また、浜口は'96年アトランタ五輪の田村(現姓・谷)亮子以来、2大会ぶり4人目の女性旗手となった。

 様々な競技の選手が集まる日本選手団においては、主将といっても特別な仕事があるわけではない。あくまでも便宜上の肩書きにすぎないが、対外的には「日本の顔」となる立場だけに、人選にあたっては競技での実力と同時に人間性も重要視される。その意味でも井上はまさにうってつけの存在だ。

 旗手は過去の例から話題の選手を選ぶことが多く、初めて正式種目に採用された女子レスリングの金メダル候補である浜口は、やはり適任だろう。ただ、今回の日本選手団は史上初めて女子の人数が男子を上回る大会となっただけに、できれば主将も女子にしてほしかった。4年後の北京五輪ではJOCの英断を期待したい。

 選ばれた2人はともに喜びの談話を発表したが、1つだけ心配なのは浜口のコンディションだ。女子レスリングは大会後半の8月22日から始まるため、当初は同13日の開会式には選手は参加せず、都内で最終調整を行うことになっていた。だが、今回の旗手決定を受けて、日本レスリング協会では急遽、予定を変更。8月5日前後に日本を出発し、開会式に参加したあと、現地で最終合宿を行うことになった。開会式に旗手として4〜5時間参加し、その後、気温40℃近い現地で最終調整を行うことは、普通に考えればマイナスだろう。だが、日本の旗手を務めるという誇りと喜びは、そのマイナス面を補って余りあるというのが浜口本人と協会側の判断だった。

 旗手と金メダル。どちらも選手の夢であり、あこがれだけに、ぜひ浜口にはアテネでふたつの喜びを手にしてほしい。

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