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五輪代表の敗北に思う。本当の世界基準って何? 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2004/09/22 00:00

五輪代表の敗北に思う。本当の世界基準って何?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 聞けば、日本ではグループリーグで敗退した「山本ジャパン」について、あまり多く論じられていないという。サッカー界の話題は「さあ次はW杯予選!」と、すっかり「ジーコジャパン」に向けられているらしい。4年前そっくりの構図である。大会前は大騒ぎ、敗れれば沈黙。幸い今回は、他の競技が頑張ったおかげで、だんまりも決め込みやすい。で、ほとぼりが冷めると、何事もなかったかのようにスッとチャンネルを切り替える。反省を確信犯的に避けている様子だ。狡いし格好悪い。将来が案じられる。

 五輪のサッカーには、その現場にいると大いなる違和感を抱く。緩さを感じずにはいられない。負けても先がある。全てが終わるわけじゃあない。「アテネ経由ドイツ行き」の言葉通り、2年後にはそれ以上の舞台が待ち構えている。メダルの重みが他とは違う。ガラガラだった地方のスタンド風景が何よりの証拠だ。ならば、反省など要らないじゃんと突っ込まれそうだが、日本は例外だと言いたい。

 今回、日本と同じ組に入ったイタリアの姿勢について「本気モード」という言葉がよく用いられた。だが実際、イタリアがどうだったのかはいまもって謎だ。本気という言葉の持つ意味が、かなり曖昧なこともあるが、それでもこれだけは確実に言える。日本から見ればイタリアの本気は程度が知れていた。費やした合宿の日数、経費、騒いだエネルギーなどを勘案すれば、日本こそがダントツの一番。自ずとそう結論づけられる。山本監督が好んで用いる「世界基準」に照らせばより鮮明になる、皮肉にも。だからこそ落とし前はつけるべき。どの国よりキチンと。

 というわけで、僕の意見を言わせてもらえば、やっぱりあの戦いには問題があったと言わざるを得ない。日本と同じスタイルで戦った国は、他にどこがあったか。なぜ「世界基準」に照らせば、異端派に属する戦術で臨んだのか不思議だ。山本監督が世界と接してこなかった証拠を見せられた気がする。

 この世界から山本式が消えかけている理由は、欧州を少し歩けば誰にでも分かる。なので、気鋭の指導者には「世界基準」を探る旅に出て欲しい。まもなく始まるチャンピオンズリーグなどは絶好の舞台。現場で見て、ショックを直に味わわない限り、哲学は育まれない。それありきの「日本人監督」だと思う。

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