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ニューヨーカーのPGが追放の末に選んだチーム。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2009/03/26 01:02

 ステフォン・マーブリーは、まさにニューヨーカーのイメージそのものだ。自尊心が強く、周りの評価を気にしないようなそぶりを見せながら、そんな自分を守るために虚勢を張って大口を叩く。そこまで突っ張って生きていくのは大変ではないかと思うのだが、それこそが、競争の激しい町で生まれ育つ間に身に着けたニューヨーカーの生存本能なのかもしれない。

 そんなマーブリーが、ついに故郷ニューヨークを出ることになった。いや、正確には追い出されることになった。

 '96年にNBA入りして以来、2シーズン半ごとにチームを転々としていたマーブリーは、5年前にニックスの一員としてニューヨークに戻ってきた。しかし、結果的には“故郷で錦”とはならなかった。実力がないわけではないのだが、チームの方針にあわずに昨季後半から戦力外扱い。今季に入ってからは、移籍先が見つかるまでチームを離れているように指示される始末だ。結局、2月末に両者合意のうえで解雇。地元ファンからもブーイングを浴びせられ、まさに追放されるようにニューヨークを出た。

 マーブリー自身に非がないわけではない。コート内外で自分の道を貫き、好き勝手をしたことでチームメイトやファンの心が離れていった。状況が悪くなっても「自分は間違ったことはしていない」と強がったことで、さらに敵を増やした。自業自得の面もあるとはいえ、故郷から拒絶されたことは、彼の人生の中でも最もつらいことだったに違いない。もちろん、ニューヨーカーの彼はそんなことはおくびにも出さないが。

 そんな彼がキャリア再生の場として選んだのはボストン・セルティックス。昨季のNBAチャンピオンだが、今季は選手層など不安材料も多く、連覇に黄信号が点っていた。強豪チームに貢献することで自分の評判を立て直したいマーブリーと利害が一致したわけだ。

 セルティックスに加わったマーブリーは、「生き返った気分。自分にとっての新しいスタートだ」と喜ぶ。ちなみにボストンはニューヨークにとっては永遠のライバルの町。果たして、ニューヨーカーの誇りを捨てた彼は、敵地で成功することで故郷を見返すことができるのだろうか。人生最大のチャレンジだ。

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