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シーズン序盤戦で
旧2強が犯した誤算。 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2009/04/17 07:00

 崩壊した“2強時代”。開幕第2戦マレーシアGPで、それがはっきりした。10チーム中最下位のフェラーリは無得点、8位マクラーレン・メルセデスは1点。こうした事態を誰が予想できただろうか。昨年コンストラクターズとドライバーズのタイトルを最終戦まで争い分けた2強は、いまやプライベートチームのなかの“2弱”に埋没してしまった。

“ミス”のフェラーリと“ウソ”のマクラーレン

 '09年の新2強は2連勝ブラウン・メルセデス(旧ホンダ)と、2戦連続3、4位入賞のトヨタで、なんといっても新興勢力としてデビューを連勝で飾ったブラウンが新風を吹き込んだ。

 今季キャリア10年になるJ・バトンはホンダ時代に'06年ハンガリーGPで1勝したものの、その後マシン不調もあって本来のドライビングに陰りが見えていた。しかし、新生ブラウン体制となって見事に復活。しなやかで美しいコーナリングが蘇り、ドライでもウェットでもコンスタントなレースペースが際立つ。彼がいなければこの2連勝はありえなかっただろう。

 首位からテールエンドに落ちたフェラーリだが、マシン自体はそれほどひどい状態にはない。問題はヒューマンエラーに属するものであり、初戦のタイヤ選択ミスや、2戦目予選で犯したピット戦略のミスなど、ライバルを甘く見たことによって足元をすくわれた。これではK・ライコネンもF・マッサもモチベーションが下がるというものだ。

 R・デニス監督が身を引いたマクラーレンも深刻だ。マシンの開発に出遅れ、特にエアロダイナミクス性能が著しく劣り、開発陣は懸命に手を打っている。初戦で3位になった王者L・ハミルトンは、後に“失格事件”に巻き込まれ、審査委員へ嘘の供述をしたとして厳罰を科せられた。この件はチーム首脳スタッフの責任問題にまで発展していて、名門内部の動揺がうかがえる。

両チームのメカニックは必死の形相で……

「こんなはずではなかったのに……」。スコールで大荒れとなったマレーシアGP終了後、深夜3時まで撤収作業を続ける両チームのメカニックたちの動きも、昨年までとは違って見えた。中国、バーレーンと続いていく序盤戦でどちらが先に浮上のきっかけを掴めるか。今年の新時代F1は「旧2強の挽回」が大きな見どころになってきた。

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