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日本デビューに“転向”
石井慧が決断した理由。
~戦極参戦は吉と出るか?~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2009/06/29 06:00

日本デビューに“転向”石井慧が決断した理由。~戦極参戦は吉と出るか?~<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 MMA転向を宣言して以来、UFC参戦を表明していた石井慧が6月になって急遽方向転換。戦極を主催するワールドビクトリーロードと選手契約を結び、年内にも国内デビューする見通しとなった。詳細は明らかにされていないが、契約期間は2年。「本人の意志を尊重して、海外でも試合ができる内容」(戦極・國保尊弘広報)だという。巷では「あれだけアメリカ、アメリカと騒いでいたのになぜ?」という声もあがっているが、石井にとっては吉と出る軌道修正になるのではないか。

UFCではMMA未経験の石井が“潰される”可能性は高い。

 というのも、アメリカ国内でのPPVをメインの収入源にしているUFCでは、アメリカ人選手が主役になる傾向が強い。いくら石井が五輪金メダリストの肩書きを持っていても、長い目で“育てて”もらえるとは限らないのだ。

 さらに現在UFCではファイトスタイル的にボクシング+レスリングが全盛で、その対策を練らなければ生き残ることはできない。柔道家時代から石井のフィジカル面の強さは有名ながら、打撃の方はいまだ1年生。昨年12月、実際に石井のMMAの練習を見る機会があったが、その時点ではまだまだ相手のパウンドに対してパニックになるシーンが目立っていた。それから半年の月日が経っているものの、いきなりボクシングのエキスパートが揃うUFCの第一線で活躍できるとは考えにくい。

石井の英断が低迷する日本格闘技界を活性化する!

 だったら国内で着実に一歩ずつ階段を昇るような試合を組んでもらい、まずは戦極ヘビー級の頂点を目指す。それから世界の頂点ともいえるUFC出場計画を練る方が賢明だろう。露骨に噛ませ犬をぶつけるようなマッチメークは御免だが、その時の石井の実力に見合った対戦相手との試合が続くならば大歓迎だ。

 現役選手からは「ありがたいやら、面倒臭いやら」(北岡悟)という利害が複雑に絡み合った声も聴こえてくるが、石井が低迷続く日本格闘技界の希望であることは確かだ。その証拠に石井の戦極参戦は業界内だけではなく、一般大衆の関心を惹きつけるだけの価値を持っている。それは石井の戦極参戦のニュースが、戦極のライバル団体であるDREAMを放送するTBSの情報番組で放送されたことからみても明らか。ライバル局ですら、“石井効果”を無視できないのだ。

■関連リンク► キモ強王者・北岡悟が闘う“想像力”という敵。 (2009年6月18日)
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