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仰天続きのIOC総会。その根本にある改革とは。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2005/08/04 00:00

 国際オリンピック委員会(IOC)の総会は毎年開催される。4年に1度行われる五輪とは比較にならないが、7月上旬にシンガポールで開かれた今回の総会は、連日テレビや新聞紙上をにぎわせた。

 2012年夏季五輪の開催地は、投票の結果、本命視されていたパリではなくロンドンに決定。実施競技も、残留確実と言われた野球とソフトボールが除外。続けて行われた新規採用競技でも有力候補だったゴルフと7人制ラグビーが最初の投票で敗れ、決選投票に残ったスカッシュと空手も規定通りの支持を獲得できず、ロンドン五輪での実施競技数は現行の28から26に減ってしまった。まさにどんでん返しの連続に、現地にいた報道陣は右往左往させられるはめになったが、当のロゲIOC会長は「民主的に重要な決定がなされた」と平然と言ってのけたという。

 事前予想がことごとく覆った最大の要因は、IOC内部の急激な変化に誰も気づかなかったことだろう。サマランチ前会長時代のIOCは、五輪の商業化とプロ化を旗印にひたすら拡大路線を貫いた。必然的にIOCには莫大な資金が流入し、前会長は絶大な権力を誇った。開催地も実施競技も、すべては資金力で決まるようになり、ほとんどの議題は前会長とその側近の事前の根回しで、話し合う前に答えが決まっていた。今回の総会ももしサマランチ前体制だったら、違った結果になっていた可能性が高い。

 だが、'01年に新たに就任したロゲ新会長は綱紀粛正を掲げ、賄賂や裏金のない透明性のある組織を目指している。会議の前にも根回しは一切行わず、結論は議場での流れに任せた。その結果、会長の発言力は弱まったもののIOCはようやく民主的な組織となった。本命のパリが敗れ、野球とソフトが除外されながら新規採用がなかったという今回の結論は一見すると支離滅裂に思えるが、根回しがなかったための混乱と考えれば納得がいく。IOCの民主化は、報道陣が考えていた以上に進んでいたのである。

 野球とソフトを五輪に戻すためには、日本が中心になって働きかけていく以外に道はない。ただしIOCそのものが変化しているということを前提にして対応しないと、再び痛い目に遭いかねない。

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