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欧州で最も輝いた選手が語った“ナカタへの思い”。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byMichi Ishijima

posted2005/06/09 00:00

欧州で最も輝いた選手が語った“ナカタへの思い”。<Number Web> photograph by Michi Ishijima

 PSVの練習場で、中国最大のスポーツ紙“体壇周報”の記者とばったり会った。韓国人選手の取材のために、日本人と中国人がはちあわせするとは何ともこっけいだが、彼とお茶を飲みながら「今季欧州でプレーしたアジア人のMVPは誰か?」という話になった。

 意見はすぐに一致した。もちろんMVPは朴智星と李栄杓のふたりだ。この韓国デュオはPSVのCL準決勝進出に貢献。李は「アジアと欧州のレベルが縮まりつつあることを示せた」と、この日の取材で誇らしげに語っていた。

 ついでに「新人王は誰?」という話を振ってみると、急に中国人記者が鼻息を荒くしてひとりの選手を推薦してきた。

 「マンチェスター・UからベルギーのアントワープにレンタルされているFWの董方卓(20歳)がメチャクチャいいね。新人王は彼で決まり」

 確かに董の成績を聞くとすごい。ベルギー2部ではあるが、今季開幕から4試合連続で途中出場からゴールを上げた。6月のワールドユースでも中国代表のエースとして期待されている大型FWだ。

 この董を筆頭に、今季のアジア人選手にとって、「2部」の舞台は大きな飛躍の場になった。フランスでは松井大輔がルマンで1部昇格に貢献し、ドイツでは韓国代表の車ドゥリがフランクフルトで1部昇格を果たしている。実力のある2部チームに移籍するのも、今後の移籍のトレンドになっていくだろう。

 帰り際に偶然、PSVの李と駐車場でばったり会い、逆に日本人選手の現状について色々と聞かれた。李が一番興味を持っていたのは中田英寿のことだった。

 「彼はまだ28歳だろ? 衰えるなんてことは絶対にない。私は他のアジア人選手の活躍を聞くと嬉しい。中田が以前の調子を取り戻してくれるといいのだけど」

 李と中田は同じ歳。李はまるで自分の姿を、中田に重ねているようだった。年齢を重ねても欧州のトップレベルで戦えるのかという不安をかき消すためにも、中田には第一線に居続けて欲しいのだ。

 ここ最近、アジア人選手は成功を収め始めているが、まだそれは長期的なものとはいえない。むしろ選手ひとりだけを見たら、一瞬輝いてすぐに消えてしまう印象がある。中田は来季復活できるのか、多くのアジア人が注目している。

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