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赤ヘルの核弾頭、尾形が燃やす親友への対抗心。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byHideki Sugiyama

posted2005/04/28 00:00

赤ヘルの核弾頭、尾形が燃やす親友への対抗心。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 開幕3連勝で、巨人の出鼻を挫いた広島。勝負を決めたのは、それぞれ緒方孝市、野村謙二郎、新井貴浩の一撃だった。しかし、巨人投手陣のリズムを狂わせたのは、3試合全てに初回先頭打者として出塁した尾形佳紀の存在だったと、巨人の阿波野秀幸投手コーチは言う。「初登板の時って、早くアウトひとつ取って、ホッと落ち着きたい。それが塁に出てチョロチョロされると……」

 切り込み隊長の役割を十分果した尾形。1番打者の座は、沖縄、日南のキャンプを通じ、赤ヘル伝統の猛練習によって、勝ち取ったものだ。「広島の伝統では、高橋慶彦(現ロッテ巡回コーチ)以来、汗と泥にまみれて頑張った者だけが出られる」と内田順三打撃コーチは、キャンプからの尾形の頑張りを認めている。

 広島の内野陣には、東出輝裕、比嘉寿光、福地寿樹、木村拓也というライバルたちがひしめいている。ちょっとした油断でせっかく掴んだレギュラーポジションを奪われる危機が常にあるのだ。「そんな緊張感が毎日の充実を作っている。学生時代から故障が多かったので、それだけには注意している」と、尾形は全試合全イニング出場(11試合終了時点)にも気をゆるめることはない。「僕には本塁打は必要ない。どんなきたないヒットでも、塁に出ることが大切。本塁打は自分を勘違いさせるからいけない」と言う。己れを知る尾形の成長は、シーツ阪神移籍の思わぬ副産物となった。

 日大出身の尾形は、同期の連中が集まる新年会には、当時の主将として、必ず顔を出している。同期にはロッテの加藤康介がいる。昨年、右足首関節はく離骨折でシーズンをほとんど棒に振ってしまった投手だ。学生時代、主将とエースの間柄でチームを支え合った男同士が再会した時、最初に口にしたのは、「ケガなく1年間働くことができたら、オフに銀座へ同期の仲間を招待しよう」。

 開幕戦、1番・遊撃でスタメン出場した尾形に、加藤は「俺もやる」とメールを送っている。その言葉通り、4月5日の西武戦で、一昨年6月以来の勝ち星を挙げて、約束を果した。「仲間の頑張りが励みになります」という尾形に、山本浩二監督は、「ウチの1番は長続きしなかったからな。オレのクビがかかっているから頼む」と檄を飛ばしている。

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