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今、デラホーヤのマネーゲームがすごい。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph bySumio Yamada

posted2008/04/03 00:00

今、デラホーヤのマネーゲームがすごい。<Number Web> photograph by Sumio Yamada

 6階級で世界チャンピオンになったオスカー・デラホーヤがボクサーとして比類なき才能の持ち主であるのは疑いようがない。と同時に、プロモーター、事業家として非凡であることも、認めないわけにはいかない。

 彼の会社、ゴールデンボーイ・プロモーション(略してGBP)が設立されたのは7年前。それまで、ボクシングのビジネスはドン・キングと、ボブ・アラムの2大プロモーターが牛耳っていたが、今やGBPは老いた彼らを押しのけてトップに躍り出ようという勢いである。

 GBPの強みは、キングやアラムが絶対に手に入れられない強力な駒を抱えていること。いうまでもなく彼自身である。過去に自分の試合を自分でプロモートしようと企て、成功した頭のいいボクサーがいたろうか。厳密にいうと選手―プロモーター兼任は規則違反だが、デラホーヤは法人と個人を使い分けることでこれをクリアした。誰も泣く子とオスカーには勝てないのが実情なのである。

 35歳のイケメンは、ボクサーとしては明らかに盛りを過ぎてしまったが、観客動員力と集金力は逆に昔よりも今の方が強力になっている感がある。全盛期の'99年、プエルトリコのスーパースター、トリニダードと激突した際には、ペイパービュー(PPV)で120万件を記録し、ヘビー級を除けば最高の数字となった。

 しかし、昨年デラホーヤが現役最強のメイウェザーと世界スーパーウェルター級王座を争った時はなんと215万件ものPPV申し込み数となり、史上レコードを塗り替えたのである。1件約55ドルを払ってテレビ観戦した世帯がこれだけの数に上ったことで、選手としてのデラホーヤは約54億円を稼いだ。今年中にも期待される両者の再戦も、これに近い数字になるだろう。この世界では、二番煎じもまた、おいしいのが常だからである。

 ホプキンスやモズリーら、自らの対戦相手を経営パートナーに引き込み、GBPはさらに巨大化していく。デラホーヤは拳で稼いだ巨額の金を自分の会社に投資し、さらに富が富を生むシステムができあがったかのようである。デラホーヤおそるべし。昔ドン・キングは独禁法違反容疑でFBIから調べられたが、このままいくとGBPもそっちの方を心配しなくてはならないかもしれない。

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