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大不況のあおりを受け
KTMが250ccから撤退。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2008/11/20 00:00

大不況のあおりを受けKTMが250ccから撤退。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 WGP第17戦マレーシアGPで、250ccクラスにワークスチームを参戦させていたオーストリアのバイクメーカーKTMが、'08年を最後に同クラスから撤退することを発表した。

 KTMとの契約更改を目前にしていた青山博一は、「言葉がないほど驚いた。でも、話し合いが合意に達してから、なかなか契約書が出来てこなかったのでおかしいなと思っていた。とは言っても、まさか、やめるとは思わなかった」と衝撃を隠さなかった。まさしく、ハシゴを外された格好の青山だが、チームスタッフも次の働き口に困窮することになった。

 弱小チームがシーズン終盤戦になって撤退を決めるのは決して珍しいことではないが、バイクメーカーの運営するワークスチームとしては異例の決断である。その理由についてKTMは、4ストローク600ccエンジンを使うニューレギュレーションが2011年から実施されるため、現状マシンへの投資に見合う見返りがないとしている。だが実際には、米国市場を始め、世界的に市販車の売り上げが伸びていない厳しい状況が撤退の大きな要因となった。

 WGPを運営統括するドルナは、モトGPクラスを盛り上げるために、スターライダーとスポンサーマネーを同クラスに一極集中させる方針を採ってきた。

 その影響を受けた125ccと250ccクラスのプライベートチームは、ライダーに対しスポンサー(資金)持ち込みを契約の条件とした。しかし世界経済の低迷でスポンサー離れが一気に進み、来季の250ccクラスの参加台数は、現段階で今年の約半数にまで減少している。そんな現状にとどめを刺すKTMの撤退だった。

 最終戦バレンシアGPで、青山は来季からスーパーバイクに復帰するアプリリアのオファーを受けた。しかし、スーパーバイクへのライダーの流失を憂うドルナは、250ccクラスの台数の減少とトップライダーの流出を防ぐため、自らの資金で走らせることを確約して青山を引き止めた。

 スポンサー離れと参加台数の低下。250ccからのワークスチームの撤退と青山の置かれている状況は、モトGPクラス主導で進めてきたWGPの歪みが、一気に露呈した結果である。

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