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2年連続のトップ交代、新日は蘇るのか。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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posted2005/06/23 00:00

 トップの首をスゲ替えても澱の溜まった経営体質と風景は変わらない。フロントも幹部レスラーもアントニオ猪木の顔色を窺い過ぎる。新日本のリングは方向性が定まらぬ乱入劇の繰り返しでファンの足が遠のいてしまった。いま創業33年の伝統ある団体に求められているのは、信用と信頼だろうと思う。

 「燃える闘魂」の意向で経営を託された草間政一社長が解任されたのは5月26日の株主総会だった。理由は一連のドーム興行の不振。昨年の藤波辰爾に続くトップの交代劇。新社長に就任したのはロサンゼルス道場の責任者で猪木の娘婿、サイモン・ケリー猪木氏(31)である。もう、失望以外に言葉も出ない。

 こうした事態を早くに察知していたのは当時、現場責任者の長州力だった。

 「なんでロス道場に月200~300万も注ぎ込まなければならないんだ」

 と猪木に噛みつき、'02年5月に退団している。だが、それも選手を預かっている立場としては当然の進言だと思える。

 ロス道場が開設されて3年。筆者の目には選手育成、有望外国人レスラーのスカウト、ブッキング面でさほど成果が上がったとは思えない。サイモン猪木社長は「外と戦って勝つ団体にしたい。グローバルな視野に立ち海外に打って出る」と海外戦略をひとつのスローガンに掲げたが、国内のマーケットが冷え込んでいたのでは心もとない。まずは、興行不振の挽回が先決だろう。

 ましてやサイモン猪木社長は日本に常駐できる人物ではない。前途に不安を抱くのは筆者だけではない筈だ。K―1、PRIDEを除いて経営トップでプロレスラー出身以外の「背広組」で成功した例は過去にない。

 そこで執行委員として現場責任者に復帰したのが蝶野正洋。人気回復の責任は重い。求められるのは選手を束ねる強いリーダーシップだ。このところ猪木事務所の介入などがあってわかりにくいカードが多かった。「ダメなものはダメ」と言い切れる風通しのいいマッチメーキングが必要だろう。ファンは黒いカリスマというキャラばかりではなく、現場における指導力を注視しているのだ。

 8月の「G1クライマックス」の日程が発表になった。サイモン猪木新体制初の大仕事に注目したい。

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