SCORE CARDBACK NUMBER

“貧乏球団”が見せる快進撃への期待。 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2008/06/12 00:00

“貧乏球団”が見せる快進撃への期待。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 春の珍事、と言ってはもはや失礼かもしれない。初夏も過ぎ盛夏を迎えようとしているが、アスレチックスとレイズの快進撃が止まらない。5月27日時点でレイズが首位、アスレチックスが首位に僅差の地区2位。この2チームに対する今シーズン開幕前の予想では、最下位争いをするとの見方が大半で、活躍を予想した関係者は皆無だった。

 アスレチックスは昨季、9シーズンぶりに負け越しという屈辱を経て、ビーンGMがチーム再建を宣言。エースのヘイレンなど主力を放出し、数年先を見据えた編成に切り替えたばかりだった。だがアスレチックス一筋6年目で、過去にも同様な状況を経験しているエリスは「誰かが抜ければチャンスが訪れるんだから、そのモチベーションは計り知れない。チームは活気に満ちていて諦めムードが漂ったことはないよ」と、過去10年で5度もポストシーズンに進出した秘訣を語る。片やレイズは対照的に万年“ドア・マット”チームだった。球団創設以降10シーズンで9度も最下位という苦汁を舐めたが、ヤンキースなど強豪球団を差しおいて、球団史上初の首位に立ち続けている。

 この両チームに共通しているのは“貧乏球団”で、若手を中心に編成しているということだ。球団総年俸は30球団中、アスレチックスが28位でレイズが 29位。ヤンキース所属のAロッドとジアンビ(高額年俸トップ2)2人分の年俸に、どちらも総年俸が及ばないのだ。そんな格差をレイズのマドン監督は「最低年俸の若手も高給のベテランも、同じフィールドで野球をやっていることに変わりない。その結果が金額では計れないから面白いんだ」と意に介さない。アスレチックスのゲレン監督も「『相手より多く得点すれば勝てる』と野球規則に書かれてるだろう。物怖じすることのないよう、そのシンプルな考えを若手に徹底させている」と説いた。

 実は、年俸総額がメジャー30球団中最低のマーリンズも、ナ・リーグ東地区首位と予想外の快進撃を続けている。これが“珍事”を越えて真の“番狂わせ” にならないものか。貧乏球団の英知と若さと意地で、資本=チーム力と額面通りにはいかないことを知らしめ、「最終的には金持ち球団が巻き返す」という米メディアの論調を覆して欲しい。

関連キーワード
ジョー・マドン
ボブ・ゲレン
オークランド・アスレチックス
タンパベイ・レイズ

ページトップ