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グリフィーとスウィーニー、
2人が起こす化学反応。 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2009/04/20 07:01

 ここまで雰囲気が一変するものかと驚いた。マリナーズのキャンプ地、ピオリアのクラブハウスがとても明るいのだ。WBCが終わり合流したばかりのイチローが「何か汚いものが省けるというイメージです。彼の光にみんな悪いものが消毒されていっている。いわゆるスーパースター」と実感を込める。

 この光を放つ選手とは、ケン・グリフィー・ジュニア。歴代5位の通算611本塁打を誇るスラッガーが、'99年まで在籍したシアトルに帰ってきた。

 そしてもう一人、イチローが名指しで加入を喜ぶ選手がいる。「マイク・スウィーニーの存在も大きいと思う。実績もあって華もある」

スーパースターのもたらす効果とは?

 グリフィーとスウィーニー。マリナーズに加入した2人は、近年怪我に悩まされて思うようなシーズンを過ごせていないという点で一致する。ただそれ以上に、誰からもこよなく愛され、本来はチームを背負って立つ看板プレーヤーであるという大きな共通点がある。一流は一流を知る。イチローは、彼らの加入がチームに及ぼす好影響をビビッドに感じ取ることができるからこそ、ここまで賛辞を送るのだろう。

 スプリングトレーニングも終わりを告げようとしていた3月29日。彼らが彼らたる所以を目の当たりにすることができた。この日のオープン戦で、城島健司が完璧な打球を左翼席に運んだ。クラブハウスに戻ると、すでに出番が終わり、少年のように後ろ向きに帽子をかぶって記者たちと談笑していたグリフィーが「ナイス!」と大声で祝福。その瞬間、間違いなくクラブハウスがパッと華やいだ。さらに自席に戻った城島は、イスに置かれた紙を開いてニヤリ。それは、すでに帰路に就いていたスウィーニーからの、ホームランを称える置手紙だったのだ。

今季のマリナーズには何かが起こる!?

 城島は言う。「あの2人が入って、チームが明るくなったよね。彼らの存在があって、イチローさんとのバランスも良くなる。ああいう人たちの存在感っていうのは成績以上に効くもんだね」。彼ら2人がキャラクターとキャプテンシーでもり立て、絶対的な実力者のイチローがその背中で牽引していく今季のマリナーズ。決して下馬評は高くないが、想像を超えるケミストリーが起きるのではないか。ほのかな期待を抱かざるをえない。

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