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異質の速さを見せる
ベッテルの緩急自在。
~開幕から見せ始めた“ある変化”~ 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2011/04/24 08:00

異質の速さを見せるベッテルの緩急自在。~開幕から見せ始めた“ある変化”~<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

KERSの使用に問題を抱えながらもポール・トゥ・ウィン。連勝スタートを切ったベッテル

 開幕戦に続き第2戦マレーシアGPも勝利したS・ベッテルは、昨年の終盤戦ブラジルGPから年をまたいで4連勝と速さを見せつけている。最年少チャンピオンという勲章を得てから、その勝ち方はかなり変わったようだ。昨年は10回もPPを奪いながら勝利に結びついたのは3戦と少なく、トラブルや本人のちょっとしたミスなどで勝利を逃したレースがいくつもあった。しかし今シーズン、まだキャリア60戦あまりの、ドライバーとして成長期にある23歳は、開幕戦からある変化を見せ始めた。

 金曜フリー走行ではタイムにこだわらず、オーストラリアもマレーシアも4番手発進。コース状況、マシンの状態、タイヤ特性などデータ収集を最優先し、遅くまでエンジニアたちと解析のミーティングを重ねる。今シーズンは今まで彼が使用したことがないKERS(運動エネルギー回生システム)、初導入のDRS(可変リアウイング)、ピレリタイヤへの変更によって、セットアップが複雑化した。メルボルン初日の夜、パドックに最後までいたのはベッテルだった。

フリー走行からレースまでの巧みなスピードコントロール。

 駆け引きでタイムを抑えているのとは少し意味が違う。マシンを最適化し、土曜フリー走行で感触をつかむ。マレーシアでは確認作業のなかで5位。これを見てマクラーレン陣営が「PPを狙える」と意気込んだのもわからないではない。

 それでいて、飛ばすべきときには全力で飛ばす。予選Q3で溜めてあったものをすべて出し切る。ミスはほとんどなく、少ないアタック周回数でトップタイムをマーク。そしてPPをつかんだら、決勝スタート後の2周目までは再び全力モード、ここが勝負になる。

 というのもKERSに関してレッドブルは開発経験が少なく、機能性の面でもメーカーチームに劣るからだ。スタートダッシュが完璧でないと1コーナーまでにKERSパワーで抜かれるリスクがある。また3周目からは1秒以内に接近されると後続車だけがDRSを使用できる。ゆえにベッテルはダッシュを決め、2周目までに2位以下を最低でも1秒リードしなくてはならない。初戦は3.232秒、第2戦は2.425秒。一気に逃げたベッテルは、その後はバックミラーだけを注視して自身初の“4連勝”を達成した。見事な緩急自在の技である。

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