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イランとの「個」の勝負で日本の真価が試される。 

text by

永井洋一

永井洋一Yoichi Nagai

PROFILE

photograph byTsutomu Kishimoto

posted2004/12/28 00:00

イランとの「個」の勝負で日本の真価が試される。<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto

 チーム全体がコンパクトにまとまり、前線から積極的な守備をし、奪ったボールは手数をかけずに早めに前線に送る。選手は「約束事」を忠実に守り、全員がよく動き、チーム全体に勢いがある。格上の相手にも「自分たちのサッカー」を貫き、試合展開はスピーディーである。オマーン、バーレーン、ヨルダンら、アジアで急成長したチームの姿だ。彼らの動きを見ると、一昔前の日本代表を思い出す。「約束事」という心強い「拠り所」に支えられ、選手はチャレンジ精神の下、迷いなく無我夢中で戦い、強豪にも善戦して周囲を驚かせた。しかし、あるレベルまで達すると「個の限界」をつきつけられ、ワンランクアップを求められた。

 オマーンもヨルダンもバーレーンも日本を苦しめたが、結局は日本に勝つことはできなかった。確かに彼らとの戦いで日本は長時間、攻勢をとられたが、最後は勝負どころを押さえて結果を手にした。彼らにしてみれば、格上の日本に善戦したものの、ゲームの進め方、勝負どころのつかみ方で一歩、後れを取ったというところだろう。そんな悔しさは、過去、他ならぬ日本も幾度となく味わってきた。例えば'98年W杯のクロアチア戦。シュケルに一発を食らうまでは、誰もが「これなら絶対に勝てる」と確信したのではないか。クロアチアは初出場のアジア第3代表の日本相手に辛勝だったが、そのW杯で3位になった。

 チーム戦術を徹底して格上にさえも攻勢を得るものの、勝負どころで個々の選手が十分に力を発揮できなかったという日本の弱点を、ジーコは改造中である。アジア杯、アウェーのオマーン戦などからその成果が窺えるが、それでも「型」と「約束事」が大好きなマニュアル愛好者からは散々の非難を浴びている。

 W杯アジア最終予選では、「約束事」でチームが見事に統一されたバーレーン、北朝鮮と対戦することになった。アンチジーコ派が最も好むチームスタイルを持つ相手だ。'98年W杯でクロアチア代表が日本代表に手を焼いたように、今回、日本代表は彼らとの戦いで確実に苦戦するだろう。しかし、勝負のポイントを押さえるのは日本代表だと信じている。

 むしろ注目すべきはイラン戦だろう。チーム戦術でごまかしようのない「個」の強さが最も際立つチームだ。イランとの勝負に、日本代表の本当の力があぶり出されるはずだ。

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