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人は見かけによらず。童顔に隠された競争心。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2008/04/03 00:00

 質問を聞きながら、クリス・ポール(ニューオリンズ・ホーネッツ)は大きくひとつ、あくびをした。礼儀知らずなのではない。その証拠に、すぐに「すみません」と謝ってきた。2月にニューオリンズで行われたオールスター・ウィークエンド中のひとこまだ。

 今年、プロ3年目で初めてオールスターに選ばれたポールは、オールスター本戦とスキルズ・チャレンジにも出場したほか、本拠地で行われたオールスターのホスト役として取材や地域活動の先頭に立って動き回ったり、契約しているシューズブランドのパーティーに出席するなど、とにかく大忙しの週末を過ごした。

 「きのうの夜もほとんど寝ていないんです」と、少し疲れた表情を見せた。

 顔にはまだ子供のようなあどけなさが残っているが、見かけに騙されてはいけない。実は誰よりもタフで、競争心も激しいのが彼の持ち味なのだ。

 「彼はトランプでもシューティング競争でも、相手がこれ以上できないところまで叩きのめそうとする」と、ホーネッツのヘッドコーチ、バイロン・スコットはポールの隠れた一面を語る。

 オールスター戦でも「何も食べられないほど緊張していた」と言いながら、試合が始まると、どのベテラン選手よりも勝利に貪欲なプレーで地元ファンを沸かせ、西軍をあわや逆転勝利に導く活躍を見せた。筋金入りの負けず嫌いだ。

 3月9日現在ホーネッツは42勝20敗、競争の激しい西カンファレンスで首位から1.5ゲーム差につけている。シーズン前には誰も予想もしなかった好成績の原動力となっているのがポールだ。

 現在、一試合平均の成績は21.3得点(リーグ18位)・11アシスト(2位)・2.7スティール(1位)。このまま20点・10アシスト以上でシーズンを終えれば、リーグ史上でも15年ぶりの快挙だ。

 果敢に攻め、スピードや方向を自在に切り替えて相手を翻弄する姿は、3年前の大型ハリケーン・カトリーナから未だ完全に復興していないニューオリンズの街の人たちにとって希望の星でもある。

 「ニューオリンズは大好きだ。よく言うんだ。街にとって大事なのは建物や道よりも人なんだとね」とポールは言う。

 そう、街も選手も見かけだけがすべてではないのだ。

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