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WBCで思わぬ高視聴率。代表人気を野球人気へ。 

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渡辺勘郎

渡辺勘郎Kanrou Watanabe

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photograph byNaoya Sanuki

posted2006/04/06 00:00

WBCで思わぬ高視聴率。代表人気を野球人気へ。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 メジャーリーグ選手が参加する初の試みだった国別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は日本の優勝という最高の結末で幕を閉じたが、この大会は日本のスポーツメディアにとって嬉しい誤算の連続だった。

 スポーツ紙はネタ枯れのこの時期に、思わぬ追い風で好調な売れ行きを見せ、優勝すると号外まで出した。

 昨夏、大会が発表された時点で、これほど盛り上がるとは予想されていなかった。日本で行われた1次リーグは読売新聞主催にもかかわらず、日本代表の3試合をTBS、日本テレビ、テレビ朝日の民放3社系列が1試合ずつ放送し、グループの日テレが独占放送しなかったことだけを見ても、それは明らかだ。

 巨人戦の視聴率低迷などに加え、ヤンキース・松井の出場が不透明だったことも二の足を踏む理由になった(結局、出場を辞退)。高視聴率は期待できないとの判断から放映権を買い渋ったが、「お付き合い」(民放関係者)で、前出の民放3社が放送することになったという。

 しかしフタを開けてみると、1次リーグはすべて18%(関東地区、以下同)を越える高視聴率。中でも台湾戦は20.3%と同時期に行われたサッカー日本代表戦を上回った。

 2次リーグに入っても、勢いは加速。平日の昼という時間帯の悪さを懸念し、録画で放送予定だった2次リーグの韓国戦をTBSは生放送に切り替え、14.4%をマーク。準決勝の放映権を持っていた同局は日本が進出しない場合は違約金を払って放送しないことも検討していたが、奇跡的に日本が進出すると、これも生放送し36.2%。決勝も日テレが43.4%という驚異的な視聴率を記録した。

 「サッカー同様、視聴率を稼げるのは日本代表の試合だけでは?」と野球人気復活には直接つながらないという悲観的な見方も確かにある。しかし、WBC日本代表により、野球の魅力が再び広く伝わることになった。筆者も野球にかかわるメディアの一員として、野球の底力を再認識させられたし、自らメジャーとかワールドシリーズと名乗ってはばからないアメリカの鼻をあかしたことは痛快だった。この代表人気をいかに野球人気につなげていけるか。選手だけでなく、メディアの今後も問われている。

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