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オーストラリアを変えたエリート教育の中身。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2007/05/31 00:00

 アジアカップの優勝オッズを、ヨーロッパ大手のブックメイカーbwinで見ると、日本とオーストラリアが3.75倍で1位につけている。ちょっと気が早いが2010年W杯の優勝オッズでは、日本とオーストラリアが151倍でアジア勢トップ(全体で26位)。今後、両国はアジアの新たなライバルとして歴史に因縁を刻んでいくだろう。

 近年、オーストラリアが急成長を遂げた要因はどこにあるのだろう。オーストラリア・サッカー協会の元テクニカル・ディレクター、ロン・スミスは言う。

 「'81年、私たちはAIS(オーストラリア国立スポーツ研究所)の一部門として、サッカースクールを立ち上げました。一番力を入れたのがフィジカル面。世界のトップを目指すにはアスリートとしての能力が鍵になるんです」

 もともとAISはオーストラリアが'76年のモントリオール五輪で金メダルゼロに終わったことを受けて創立されたエリート養成機関だ。その設備と知識を生かして、全寮制のサッカー部門がスタートした。AIS出身の選手を挙げるときりがない。

 ビドゥカ、エマートン、アロイージ、ブレシアーノ、グレッラ……。ドイツW杯のメンバー23人のうち、12人がAISの門をくぐった選手たちだ。

 入学するのは毎年約20人。16歳が対象で1年契約だが、結果次第で1年間延長される。AISでチームを作り、2005年からプロの2部リーグに参加している。オコノール監督は「年上と対戦することが強化になる」と意図を説明する。

 かつてAISに所属し、その後セルビア代表の道を選んだエルギッチは言う。

 「コーチが6、7人いるから、個人指導の時間がとても長い。月に1回フィットネステストがあり、体調も管理されている。一番良かったのはプロに必要な知識を授業で教えてもらったことだ。栄養学、心理学、一人暮らしの仕方。私がプロになれたのはAISのおかげだ」

 ジーコがフィジカル面を重視したエリート教育の重要性を訴え続けていたように、ブラジルでも“天才”に投資して最高の環境を与えるのは当たり前のこと。日本でも福島でJFAアカデミーがスタートしたが、オーストラリアの成功例を大いに参考にすべきだろう。

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