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U-20韓国代表を率いた
洪明甫の手腕に注目。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byGetty Images

posted2009/11/02 06:00

現役時代、柏レイソルで主将も務めた洪明甫。韓国は優勝国のガーナに1点及ばず惜敗した

現役時代、柏レイソルで主将も務めた洪明甫。韓国は優勝国のガーナに1点及ばず惜敗した

 ひとつの大会を取材していると、得てして成績とは無関係に、気になるチームが出てくるものだ。先ごろエジプトで行なわれたU-20ワールドカップでは、韓国がまさしくそれだった。

 韓国にとっては、18年ぶりの準々決勝進出。だが、言い換えれば、ベスト8止まり、に過ぎない。それでも強く印象に残ったのは、実に先進的で攻撃的なサッカーを展開していたからだ。

ベスト8で散ったが、刮目すべき戦術で攻めた韓国。

 韓国の攻撃は、センターバックがワイドに開き、サイドバックを高く押し出すところから始まる。中盤はいたずらに下がらず、センターバックが意図のあるパスをボランチやサイドに配ると、中盤では横に広くボールを動かし、サイドからは果敢にドリブルで仕掛けていった。

 ヨーロッパのトップクラブならともかく、これほどの積極的なビルドアップはJリーグではもちろん、こうした国際大会ですら、そうはお目にかかれない。

 事実、韓国以上の成績(ベスト4)を残したコスタリカやハンガリーも、戦術的には見るべきものはなかった。

 コスタリカのDFラインは概して深く、攻撃はカウンターが中心。ハンガリーにしても、DFラインは常にステイ。前4人が攻めて、後ろ6人が守る超現実路線だった。つまり、この大会における韓国は、いい意味で“浮いていた”のだ。

新人監督とは思えない洪明甫の手腕……Jにほしい人材だ。

 チームを率いていたのは、元・韓国代表であり、平塚(現・湘南)と柏でもプレーした洪明甫(ホン・ミョンボ)。コーチ経験があるだけの40歳の新人監督は、今年2月の就任から半年あまりの短期間で、驚嘆に値するチームを作り上げた。

 優勝したガーナに敗れた準々決勝にしても、勝っていても不思議のない、互角以上の試合だった。洪明甫は「簡単にサイドでスペースを与えてしまった。守備の組織には満足していない」と手厳しかったが、それを補って余りあるスペクタクルが、攻撃には備わっていた。

 これほどのサッカーを見せられると、どんなチーム作りをしてきたのか、ぜひとも自分の目で、その過程を見たくなる。幸いにして、日本に縁のある人物である。どこかのJクラブが、洪明甫を監督に引っ張ってみてはいかがだろうか。

 個人的には、今季J1で広島が残したインパクト以上のものをもたらす可能性がある、とさえ思っている。

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