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37歳の大ベテラン、クローザーでの開眼。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2007/07/12 00:00

37歳の大ベテラン、クローザーでの開眼。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「彼がいなかったら、今ごろ私はベンチに座っていられなかったかもしれない」と、ジョー・マドン監督はいう。球団創設9年で、最下位を免れたのは1度だけ。監督に就任した昨年も101敗を喫している。そのマドン監督とデビルレイズの危機的状況を救い、文字通り守護神として1勝1敗17セーブ、防御率3.16(6月26日現在)をマークしているのがアル・レイエスだ。プロ生活19年目を迎えた37歳の大ベテランだが、クローザーは今季が初体験。それどころか、メジャーでフルに働いたことがあるのは、これまでわずか2シーズンしかない。レイエスは、キャリアの多くの時間をマイナーでの生存競争で過ごし、ケガとの戦いに費やしてきた選手だった。

 「いままでの野球人生を考えたら、9回1イニングを抑えるのは、さほど難しいことではない。難しかったのは、こういうチャンスを手に入れることだった」と、レイエスは語る。

 マイナー3年目に右肩を手術し、メジャー定着がみえた'95年には右ヒジを痛めて靱帯移植のトミー・ジョン手術、'00年には故郷ドミニカで車の運転を誤り、肋骨や左肩を骨折する重傷を負った。それでも翌年には復帰し、'05年にはカージナルスで自己最多の65試合に登板、4勝をマークしてセットアップマンの地位も確保した。だが、再び右ヒジ靱帯を痛めて手術を受けることになり、昨年はメジャーに上がれないまま終わった。

 しかし、普通なら野球人生のゲームセットが宣言されてもおかしくない時期にきて、幸運は訪れた。スプリングトレーニングからオープン戦にかけてクローザー候補が失格していく中で、レイエスは安定した投球をみせ続けた。そして、開幕ロースターにギリギリで滑り込んだのである。

 「低めへの制球力とチェンジアップが抜群。だが、何よりも彼を素晴らしいクローザーにしているのは、マウンド度胸だ。どんな状況でも落ち着いている。見ていて実に安定感がある」と、クローザーに抜擢したマドン監督は満足げだ。

 レッドソックスの独走態勢で、荒れ模様のレース展開になっているア・リーグ東地区。突如現れた“クローザーのオールドルーキー”の活躍で、デビルレイズにも上位進出のチャンスが広がりそうだ。

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