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名古屋国際を断念。高橋尚子、北京への思惑。 高橋尚子 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2007/02/22 00:00

 女子マラソンの高橋尚子(ファイテン)が、3月の名古屋国際出場を断念した。1月31日に所属事務所を通じて「北京五輪を一番の目標と考え、名古屋国際への出場はしないことに決めました」とコメント。その上で「長いスパンで一から身体の改善をし、今までの総決算として北京五輪最終予選会に全力で臨みます」と、再起に強い意欲を見せた。

 高橋は当初、8月の世界選手権(大阪)での五輪切符獲得を目指していたが、代表選考会となる東京国際で惨敗して失敗。名古屋に再挑戦するか、今秋から始まる国内の五輪選考レースに照準を切り替えるか、決断を迫られていた。大阪でメダルを獲得し、日本人最上位になれば一足先に五輪代表に内定する。そうなれば本番まで1年間の準備期間があり、金メダルへの大きなアドバンテージが得られる。しかももし大阪で内定者が出れば、残る代表ワクはたったのふたつ。選考レースは11月の東京国際、'08年1月の大阪国際、同3月の名古屋国際と3つあり、場合によっては優勝しても代表になれないケースが出てくる。まして東京には早々とアテネ五輪金メダリストの野口みずき(シスメックス)が出場の意向を示しており、高橋の選択肢は大阪か名古屋しかない。また、たとえそこで代表になれたとしても、五輪までの期間が短すぎて万全の状態に仕上げることは難しくなる。様々な理由から高橋はあくまでも名古屋での再挑戦に固執していたが、年末年始の伊豆大島合宿で調子が上がらなかったこともあり、最終的に断念した。

 この決断が吉と出るか凶と出るかは分からないが、少なくとも現時点での判断としては正解だろう。11月の東京国際からわずか9カ月間で名古屋、世界選手権と3つのレースをこなすのは体力的に厳しい。同じ一発勝負に懸けるのなら、もう一度身体を作り直して今秋以降のレースに臨んだ方が、成功の確率はより高くなる。高橋自身が言うように「北京五輪を一番の目標」と考えるなら、今はじっと耐えて捲土重来を期すしかない。

 厳しい言い方だが、今の高橋にかつてのようなスピードやスタミナはもうない。今の自分の力を認識した上で練習方法を考えないと、何度やっても結果は同じだ。復活への道は、まず過去の栄光を忘れることから始まる。

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