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高騰するテレビ放映権がもたらしたある“事件”。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byToshiya Kondo

posted2006/11/23 00:00

高騰するテレビ放映権がもたらしたある“事件”。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

 今季のスペインリーグで、開幕以来、セビリアの試合をテレビで見られないという事件が起こった。おかげでスタジアムは満員になったというが、10月29日のセルタ戦から放送が始まり、UEFA杯王者のゲームを地元ファンのみならず日本のファンも映像を見られないという異例の事態は収束した。騒動の原因はテレビ放映権料をめぐる争いだった。

 中堅クラブにとってはテレビ局からの放映権収入は生命線。欧州タイトル獲得という交渉カードを得たセビリアが、契約締結を遅らせてでもバリューアップさせようとしたのは理解できなくもない。

 伊有力経済紙の調査によると、いわゆる5大リーグ(英・独・仏・伊・西)の今季収入総計は57億5900万ユーロ(約8638億円)に上ると予想されている。そのうち放映権収入の割合は40%強を占める。

 イングランド、ドイツ、フランスは放映権契約に関してリーグ一括契約が原則なのに対し、イタリア、スペインのラテン勢は、電波媒体によっては各クラブによる単独契約が認められている。テレビ放送と一口に言っても、地上アナログ、デジタル、衛星放送の計3波が存在し、さらにインターネットとワンセグ携帯がテクノロジーの進化によって新たに出現した。売り手(リーグ、クラブ)の「商品」はリーグ戦の試合だけでなく、国内カップ戦、昇格・降格プレーオフなどがあり、売買形態も生放送、ダイジェスト、ゴールシーンなどに細分化されている。それらすべてに個別またはパッケージ契約交渉があり、その上、日本を含む海外向け販売もある。マンチェスター・Uやバルセロナなど自前の衛星テレビ局を持つビッグクラブも増えてきた。

 サッカーはどこの国でもキラーコンテンツであるがゆえに、EUの反トラスト法を睨みつつ、放送局側の争奪戦も熾烈を極める。買い手であるテレビ局がプロバイダーや携帯キャリアとシンジケートを組んで契約するケースも目立ってきた。

 新媒体とともに、いつでもどこでも(金さえ払えば)コンビニエンスにサッカーが見られる時代がやってきた。しかし、地球の裏側で画面越しに見る欧州サッカーの背後には、巨大な金が蠢いている。放映権を巡る混沌状態はしばらく続くだろう。

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