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学生vs.社会人。結果以上の大きな意義。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2005/10/27 00:00

学生vs.社会人。結果以上の大きな意義。<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

 「ここまでやられるとは。全く予想してませんでした」

 いつも強気を崩さないワセダの清宮克幸監督が白旗を掲げた。

 10月10日、早大は雨の東芝府中グラウンドに出向き、東芝Bとの練習試合に臨んだ。昨季の大学王者は今季も宿敵・関東学院大に春夏と連勝し、9月のケンブリッジ戦にも完勝。もはや学生相手には無敵の赤黒軍団が「トップリーグ4強を破る」という目標を見据えての出稽古だったが……相手はトップリーグで首位を独走中。しかも主将は、昨季のMVPながら今季はまだ先発ゼロのバツベイが務め「結果を出していかないと次のチャンスは来ない」とシビアに学生王者を迎え撃った。早大は前半、東芝の十八番モールを逆に押し込んで2トライを奪ったが、東芝の激しいコンタクトを浴びて徐々に疲弊。逆に東芝は、CTBオトが前日のトップリーグ・リコー戦から2日間で160分フル出場する強行軍ながら3トライをあげるタフネスぶり。外国人パワーだけではない。関東学院大では控えだったSO奥和幸、高卒入社で大学4年と同年齢のCTB佐々木天晃ら地味な若手が、強く正確に基本プレーを反復した末の大勝だ。早大の清宮監督は「我慢できる気配も全くなかった。学生はショックを受けてるでしょう。収穫は……課題しかないなあ」とため息をつくだけだった。

 それでも、シーズン中に社会人相手の武者修行を敢行した英断は讃えたい。早大は昨季も学生相手には敵なしの快進撃を続けたが、強い相手と対戦できず、チームは成長できなかった。翻って英国では、オックスフォード大やケンブリッジ大もプレミア勢と対戦しながらチームを作っていく。早大にはFB五郎丸歩やPR畠山健介、FL豊田将万ら未来の日本ラグビーを支える大器がひしめき、個人レベルでは東芝相手にも通用していた。だが彼らが努力すればするほど、大学では図抜けた存在となり、大学同士の試合は興趣を失う。そして、より強い相手を求めるのは全てのスポーツの根本原則である。早大の挑戦は慢心ではなく、成長の機会を求めた切実な叫びだった。これは早大だけの問題ではない。各大学に散らばる優れた選手は高レベルの経験に飢えている。学生がトップリーグにスポット参加できるシステムを、早く作りたい。

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