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五輪招致で不利な立場の東京に秘策はあるか。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2009/03/12 00:00

 東京都が立候補している2016年夏季五輪開催都市の招致活動が佳境を迎えている。

 実際に決定するのは今年10月に行なわれる国際五輪委員会(IOC)総会での投票だが、昨年の一次選考を経て残った東京、シカゴ(アメリカ)、マドリード(スペイン)、リオデジャネイロ(ブラジル)の4都市は、2月中旬に開催計画をまとめた「立候補ファイル」をIOCに提出。今春にはこのファイルを踏まえ、IOC評価委員会による各都市の視察が行なわれる。この時点で流れは決定付けられる。

 東京が立候補ファイルで掲げたポイントは3つだ。「平和への貢献」、ほとんどの競技会場を半径8km圏内に集約する「五輪史上最もコンパクトな大会」、地球温暖化の防止につながる二酸化炭素(カーボン)削減を優先した「世界初のカーボンマイナス五輪」である。

 近年IOCが重視するのは、五輪を通じてどのような貢献が世界に対して可能なのかということだ。3つのポイントの実現性に説得力をもたせることができれば、アピールする力にはなるといえる。だがそれだけでは勝ち切れない。

 実は昨年の一次選考で、東京はトップ評価を得て最終選考へと進んだ。施設、宿泊、交通、治安などでの評価が高かったのだ。その中で唯一低評価を受けたのが「世論の支持」だった。IOCの関係者、そして招致委員会もその点が最終的にネックになると指摘している。また、他の3都市は決まれば初開催であり、それぞれに強みをもつ。南米初の五輪開催を目指すリオデジャネイロ、圧倒的な国内の支持を背景とするマドリード、そして'96年以来夏季開催のないアメリカから立候補しオバマ人気をあてこむシカゴ。それと比べると、東京は2度目の開催であり、'08年に北京で開催されたためアジアでの間隔が近すぎることも懸念される。そう考えると不利である。

 世論喚起を狙い活動を続けてきたというが、どこまで浸透したか不安は否めない。「やはりスポーツ大会であることは忘れたくない」。あるIOC関係者の言葉だ。国内外の支持を得るには、やはり、五輪という「スポーツの」イベントを東京で行なう意義をどう訴えるかにかかっているのだ。ビジネス面のメリットばかりが強調される現在、原点こそ重要になる。

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