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ナショナルトレセンが一般開放される怪。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

PROFILE

posted2008/02/14 00:00

 1月21日、日本スポーツ界の悲願だったナショナルトレーニングセンター(NTC)が、東京都北区にオープンした。'01年に開所した国立スポーツ科学センター(JISS)に隣接し、地上3階、地下1階の施設に各競技団体が専用練習場を持ち、宿舎と食堂の別棟もある。総工費310億円。各練習場には、いくつものカメラが設置されており、さまざまな角度からプレーを解析できるなど、日本が誇る超ハイテクセンターだ。

 テニスも、北京五輪や全米で使用されるハードコート2面、全仏で使われる赤土コート2面をそろえた室内コートが完成した。しかし、テニスは、計4面のコートの2面を、4月から一般に貸し出さなくてはならない。NTCの施設で、一般に利用を認めるのはテニスだけである。日本テニス協会は、計画段階から必死に抵抗したが、結局、管轄官庁の文科省と日本オリンピック委員会(JOC)に押し切られる形となった。

 元々、JISSを含んだこの敷地は、北区と板橋区住民のスポーツ公園だった。そこにJISSを建設する際、区と住民たちは文部省(当時)と、一般開放する合意書を取り交わしている。しかし、実際に一般の利用が行われているのはテニスコートだけ。テニス協会は、JISSの計画当時、東京・久我山にあった朝日生命の厚生施設を借り、専用のNTCを持っていた。そのためJISSのコート使用を遠慮し、一般に開放されたのである。今回のNTC建設にあたっても、合意書を元に、区や住民は一般開放を求めてきた。文科省、JOCともに、その要求を拒否。しかし、テニスだけはJISSの利用実績を認め、一般開放に同意したのである。

 テニスの一般利用は、合意書を守ることへのスケープゴートだった。JOCは「一般開放に関しては、今は触れないでほしい。後々、4面すべてを協会専用にする」と話しているという。しかし、当分は、日本のトップ選手が練習する横で、一般の利用者がテニスを行うというNTCでは考えられない光景が見られることになる。ただ、2面でもないよりはあった方がましである。ナショナルコーチも数人が常駐するという。何とか強化に役立て、少しでも4大大会で活躍する選手が多く育ってくれることを祈るばかりだ。

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